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谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

1960年生まれ。1985年電気通信大学情報数理工学科修士課程修了、日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社、日経コンピュータ編集部に配属。日経ウォッチャーIBM版記者、日経ビズテック編集委員を経て、2007年から日経ビジネスオンライン、日経コンピュータ、ITproの編集委員。2009年1月から日経コンピュータ編集長。2011年6月から日経BPビジョナリー経営研究所研究員。2015年から日経BP総研 上席研究員。一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。

◇主な著書
ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国』(日経BP) 2013
社長が知りたいIT 50の本当』(日経BP) 2016

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 諸事情により、このところ自宅で仕事をしております。記事執筆、Webサイトコンテンツの編集、書籍の編集など家にいても色々やれます。そういえば10数年前、「電子メールで取材をするな」と後輩記者を(電子メールで)叱った事がありましたが今は電子メールが無いと仕事ができません・・・。

経営の情識

日本の難題、「見えないものに挑む」

2017年9月6日(水)

 「要するに日本人には頭が無いんでせう。」

 「私は日本人には、藝術家として、空想と情熱が乏しいのぢや無いかと思つてゐます。」

 「空想と情熱・・・・・さうかも知れませんね。此間日本歴史を讀返して見たですが、実に厭な寂しい氣がしました。日本人は一度だつて空想に悩まされた事はないんですね。眼に見える敵に對して復讐の観念から戦争したばかりで、眼に見えない空想や迷信から騒出した事は一度もない。」

 冒頭の問答は永井荷風が明治42年(1909年)に発表した『新歸朝者日記』からの引用である。仏米における長期滞在を終え、帰国した荷風は明治維新後の日本を批判する小説や随筆を次々に発表した。いくら何でも「頭が無い」とは言い過ぎだという気がするものの、日本人は「眼に見えない空想」への「情熱が乏しい」という評は100年以上経った今日でも通用する。

 眼に見える物であれば上手に作れる。納期や品質に悩まされる事があっても作り方を改善し、品質を高めていける。実際それを繰り返し、今では懐かしい言葉だが「経済大国」に日本はなれた。ところが眼に見えない何かを扱おうとした途端、下手になる。見えない何かが大事だと気付かない場合もある。悩まされなくて済むが大事な何かが欠落したままになる。

 本稿の題名に入れた「見えないものに挑む」という言葉は筆者が2004年に発表した一文の中で使ったものである。見えないものに日本人は弱いと考え、挑む必要があると書いた。執筆当時、荷風の『新歸朝者日記』を通読していなかったが、冒頭の問答が引用された別の本を読んだことがあったから、頭の片隅に荷風の言葉が残っていたのかもしれない。

ソフトウエアは見えにくい

 「見えないものに日本人は弱い」と考え出したのは2004年よりずっと前からである。きっかけは1985年から日経コンピュータ誌の記者になり、『動かないコンピュータ』という欄を担当し、たびたび記事を書いたことだ。

 せっかく買ったコンピュータを使わずに放置している企業を取材し、失敗事例を実名で報じる欄であった。使えない理由はコンピュータを動かすソフトウエアの開発に失敗したことだ。取材を通じ、「ソフトウエアは眼に見えないから難しい」という発言をしばしば聞いた。最も印象に残っている金融サービス会社の専務の述懐を紹介する。

 「当社がソフトウエアの開発を始めたのとほぼ同時期に、近所で高層棟の建築が始まった。我々のソフトウエア開発陣が何をしているのか、どこまで何が出来上がったのか、よく見えないから毎日不安だった。窓から見える高層棟は確実に出来上がっていく。建築は眼に見えていいなあ、と羨ましく思った」

 ソフトウエアは見えにくいが見る方法はある。プログラミング言語を使って記述した文書のようなものだから、印刷すれば読める。だがソフトウエア文書をにらんでいても問題は解けない。ソフトウエアを記述する前にやらなければいけない事があり、それをうまくできないから、動かないコンピュータが生まれてしまう。

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