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長尾 賢(ながお・さとる)

未来工学研究所研究員/学習院大学東洋文化研究所客員研究員/青山学院大学講師(国際機構論、非常勤)/駒澤大学講師(南アジア政治論、非常勤)/日本戦略研究フォーラム研究員/人間文化研究機構現代インド地域研究研究協力者/日本安全保障戦略研究所研究員/スリランカ国家安全保障研究所(INSSSL)上級研究員/インディアン・ミリタリー・レヴュー上級研究員

長尾 賢

2001年、学習院大学法学部政治学科卒業。同修士号も取得。自衛隊、外務省勤務の後、学習院大学大学院においてインドの軍事戦略を研究し、博士号を取得。インドの軍事戦略に関する博士論文としては日本で最初のものになる。2007年、防衛省「安全保障に関する懸賞論文」優秀賞受賞。学習院大学東洋文化研究所PD共同研究員、海洋政策研究財団研究員、アメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、東京財団研究員を経て、現在上記現職。専門は安全保障、インド。

◇主な著書
検証 インドの軍事戦略―緊迫する周辺国とのパワーバランス』(ミネルヴァ書房)』(ミネルヴァ書房) 2015
平成18年度 安全保障に関する懸賞論文 優秀賞』(防衛省) 2007
“India's Military Modernization and the Changing US-China Power Balance” Asia Pacific Bulletin, No .192 』(East West Center, US) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 最近、『検証 インドの軍事戦略』という本を出しました。インドが将来どのような大国になるのか。その時、強力な軍事力をどのように使うのだろうか。インドの軍事戦略について検証した本です。

 なぜこのような研究をしたのか。それは日本の安全保障にとって、インドの重要性が増しつつあるからです。アメリカ軍に比べ、中国軍の近代化の速度はかなり速い。かつてはアメリカの影響力が強かった地域に中国が進出し始めています。その結果、アメリカの同盟国である日本と中国の間でも軍事的緊張が高まりつつあります。中国軍の急速な近代化に対抗し得る防衛力がどこかにないのか。日米は、インド軍の近代化に注目し、インドとの連携を強めようとしているわけです。

 しかしインドは信用できるのか。軍事力を近代化したインドは、今の中国のように、周辺の小国に対して軍事的圧力を強めるのではないか。日本がインドを支援することは正しいのか、疑問が生じます。そこで私はインドの軍事戦略の研究をし、6年かけて博士号を取得し、その後の研究も含め10年かけて書籍として販売するにいたったわけです。

 本研究の結論は、インドはすでに大国としてのあるべき抑制された軍事力の運用法を身につけており、責任ある大国になる可能性が高いというものです。2014年、インドはバングラデシュとの海上国境問題を国際的な枠組みである常設仲裁裁判所にゆだね、バングラデシュ有利の判決を受け入れました。これこそ大国のあるべき寛容な姿。私の研究は間違っていなかったと思っています。

日印「同盟」時代

「一帯一路」に対抗する日・インドの戦略構想

2017年6月2日(金)

スリランカのインフラ開発において、ハンバントタ港の開発は罠となる(写真:ロイター/アフロ)

 中国が5月中旬、「一帯一路」サミットを北京で開催した。「シルクロード」を再構築する大規模な試みだ。ロシアやインドネシアなどの大統領も集まり、大きなイベントとなった。

 このサミットに、明確に反旗を翻した国がある。インドだ。インドは招待されたにもかかわらず代表を送らなかったばかりか、「一帯一路」構想の問題点を指摘する公式声明を出した(注1)

 そのインドのナレンドラ・モディ首相は5月24日、「アジア・アフリカ成長回廊」という構想を明らかにした。これは日本とインドが協力する構想である。

 インドは中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)や、BRICS首脳会議などの主要メンバー。経済面では、日本や米国だけでなく、中国やロシアとも付き合ってきた国だ。そのインドが、今、中国と対決する姿勢を明確に見せている。

 どうして明確な立場を示したのか。インドが「一帯一路」構想に反対した背景、インドが日本と進めているインド洋周辺の対抗策、日本としてどうするべきなのか。本稿はこの課題を分析する。

借金漬けにして中国の影響下に

 インド外務省のホームページに、「一帯一路」構想を取り上げたページがある。ここには、本来あるべき経済協力の姿と、「一帯一路」構想がその理想からかけ離れていることが書かれている。どうやら、インドは2つのことを気にしているようだ。

 1つ目は、返済できないような多額のローンを中国が高い金利で貸している点だ。諸国を借金漬けにして中国の影響下に置こうとする、悪意に満ちた計画ととらえているのである。

 例えば、中国がスリランカに建設したハンバントタ港の建設がその例として挙げている。スリランカ政府は、ハンバントタという場所に、中国の協力を得て港と空港を建設した。その際、中国から借り入れを受けた。金利は6.3%。

 ローンは返さなければならない。だがスリランカは80億ドルに及ぶローンを返却するめどが立っておらず(注2)、中国に今後99年にわたって運営権を渡す契約に合意することになりそうだ。さらには、同港の敷地内において治安や警備の権限まで中国に認めることになりかねない。

 もし治安や警備の権限を認めた場合、スリランカ政府は、ハンバントタ港の中で何が行われているか把握できない状態に陥る。同港は中国の、中国による、中国のための港になってしまう。

 世界銀行や、日本が主導するアジア開発銀行から国が借り入れをする場合、利率は0.25~3%である。中国の6.3%というのは非常に高い(注3)。インドはこれを見て、帝国主義時代に欧米列強が植民地を作ったやり方と同様だと考え始めている。インドの歴史を振り返ると、英国は、税金を払えない農民の土地を差し押さえることで、インド人を、英国人の支配下においていった(注4)

(注2)スリランカが返却しなければならない金額は膨大で、スリランカの財務相がNHKのインタビューに応えて語ったところによると、返済に400年かかるので現実的な話ではない、との見方をしている(「国際報道2017」(NHK、BS1、2017年5月19日放送)。スリランカ全体では返却しなければならないローンは640億米ドルになり、それは国家の年収の約95%になる(Yogita Limaye, “Sri Lanka: A country trapped in debt”, BBC, 26 May 2017 )

(注3)Dipanjan Roy Chaudhury, “China may put South Asia on road to debt trap”, Economic Times, May 2 2017

(注4)スリランカでも中国のやり方に反発が強まっている。スリランカは中国との経済関係を維持する一方で、この5月、中国潜水艦の寄港を拒否した。インドのモディ首相がスリランカを訪問する時期に近かったこともあるが、それ以上に、中国のインフラ開発支援が軍事色を帯びてきている(後述)ことへの警戒感があるものとみられる。
Shihar Aneez and Ranga Sirilal, “Sri Lanka rejects Chinese request for submarine visit: sources”, Economic Times May 11 2017

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