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片瀬 京子(かたせ・きょうこ)

フリーライター

片瀬 京子

1972年生まれ。東京都出身。98年に大学院を修了後、出版社に入社。雑誌編集部に勤務の後、2009年からフリー。

◇主な著書
誰もやめない会社』(日経BP社) 2012
ラジオ福島の300日』(毎日新聞社) 2012
広島カープがしぶとく愛される理由』(日経BP社) 2016

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「基礎研究」の人々

酵母の魅力と可能性は「おおらかさ」にあり

2017年6月26日(月)

 ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏が、その重要性を強調した「基礎研究」。しかし、それに携わる人々は「研究所の奥で日々ひたすら研究にいそしんでいる」イメージで、実像になかなか触れる機会がありません。
 例えばメーカーの「商品開発」に関しても、脚光を浴びるのはヒットアイテムの商品化を手掛けた「商品企画」部門で、その基盤となった基礎研究にはなかなか光が届きません。
 このコラムでは、メーカーの研究所で働く「基礎研究の人々」にお話をうかがっていきます。なぜメーカーで基礎研究をすることを選んだのか、なぜその研究テーマを選んだのか、日々どんな研究生活をしているのか、手応えや悩みは? などなど、知られざる生態に迫ります。
 今回訪れたのはサントリーワールドリサーチセンター。2015年5月、京都府精華町に新しい研究開発拠点として作られた「基礎研究の館」です。

 サントリーがビール市場に参入したのは1963年、東京五輪開催の前年のことだ。男女雇用機会均等法が施行された1986年にモルツを発売するまで、かなりの苦戦を強いられてきた。児玉由紀子さんがサントリーに入社したのは、そのモルツ発売の3年前。以来、ほぼ酵母を相手に仕事をしてきた。酵母はお酒、もちろんビールづくりにも欠かせない存在だ。

酵母への道は父の手作り味噌から

 「『ザ・プレミアム・モルツをつくりました』とか言えたらいいんですけど、私は商品には関わってきていないんです。『こんな味の、こんな香りのビールをつくりたいなら、こんなゲノムを持っているこの酵母をどうぞ』と言えたらいいなと思いながら、なかなか実現しないですね」

 サントリーは世界で初めて(下面)ビール酵母のゲノム解析に成功している。

 「でもまだ、なぜこんなに複雑なゲノム構造をしているのかなど、分からないことがたくさんあるんです。今はそれを一つひとつひもとくという、地味な仕事をしています」

サントリーグローバルイノベーションセンター 研究部 上席研究員 農学博士 児玉由紀子さん(写真:行友重治、以下同)

 キャリアのほとんどを酵母とともに歩んできた児玉さんと発酵…酵母を含めた微生物との出会いは、少女時代に遡る。

 「父は大正12年生まれで、機械系のエンジニアだったのですが、家でお味噌をつくるのが好きだったんです」

 お味噌、ソイ・ビーン・ペーストだ。兵庫県宝塚市の清荒神の参道にあるこうじ専門店でこうじを買い、床下に置いた瓶で大豆を発酵させていた。

 「その頃はそれが普通だと思っていました。どこの家でもお父さんはお味噌をつくるものだと。でも違ったみたいですね」

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高田 明 ジャパネットたかた 創業者