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福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

福島 香織

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。

◇主な著書
中国絶望工場の若者たち』(PHP研究所) 2013
中国「反日デモ」の深層』(扶桑社新書) 2012
潜入ルポ 中国の女』(文藝春秋) 2011

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス

中国「私有財産を消滅させよ」論争の不気味

2018年2月21日(水)

春節に厄を払い「発財」を願う爆竹が、今年の北京では禁止された(写真:AP/アフロ、2011年撮影)

 中国をはじめとする中華圏は2月16日に春節(旧暦の正月)を迎え、本当の意味での2018年戊戌の年が始まったのだが、今年の春節はどうも不気味である。

爆竹聞こえぬ北京、焼身自殺続くチベット

 一つは北京でまったく爆竹の音がしなかった。除夕(旧暦の除夜)から日付が変わるまで、中国では爆竹・花火を鳴らして厄除けをする伝統があるが、北京が爆竹禁止地域に指定されたため、まったくもって静かだった。おかげで、北京の春節を青空で迎えられた、と肯定的に報道するメディアもあるが、私の友人たちは「一発の爆竹の音もしなかった。誰一人習近平の命令に逆らわない、というのがすごく不気味」と言っていた。これまでは、お上から命令されても、上に政策あれば下に対策あり、と抜け道を探って個人の欲望を満たすのが中国人だったのに。

 もう一つは春節2日目の17日夕のチベット自治区ラサのジョカンの火災。世界文化遺産にも指定されている1300年の歴史をもつチベット仏教の名刹が火災だというのに、新華社は「すぐに消し止められた。けが人はなく、秩序は正常だ。自治区書記の呉英傑が現場指揮にあたった」とあっさりしたものだ。燃え盛る名刹の衝撃的な映像、写真は中国のネット、SNSで削除対象となった。

 チベットでは中国共産党の宗教弾圧、民族弾圧に抗議して僧侶や信仰の厚い庶民の間で焼身自殺が続いている。昨年(2017年2月~2018年2月)だけでも6人が焼身自殺した。その中には16歳の少年もいる。ジョカンの火災映像に焼身自殺したチベット人たちの悲憤を重ねた人もいたのではないだろうか。チベット正月・ロサを見舞ったこの火事の原因はまだ不明だが、信仰の象徴である重要な寺院や仏像が焼失したことによるチベット人の心の動揺を懸念しすぎるあまりに、中国当局が弾圧・統制を一層厳しくするのではないか、と胸騒ぎがするのである。

 さて、こうした不穏な一年の始まりを予感させる事象の中で、今回取り上げたいのは今年1月から突如吹き上がった「私有制度消滅」論である。単なるネット上の学者の論争というより、私には習近平政権が本気で中国経済を公有制路線に先祖返りさせようと考えているのではないか、そのための観測気球ではないか、という気がしたので、一度詳しく整理しておきたい。

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