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押井 守(おしい・まもる)

映画監督

押井 守

1951年生まれ。東京都出身。大学卒業後、ラジオ番組制作会社等を経て、タツノコプロダクションに入社。84年「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」で映像作家として注目を集める。アニメーションの他に実写作品や小説も数多く手がける。主な作品に「GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊」(1995)、「Avalon」(2001)、「イノセンス」(04)「スカイクロラ The Sky Crawlers」(08)等多数。

◇主な著書
コミュニケーションは、要らない』(幻冬舎新書) 2012
勝つために戦え!!』(エンターブレイン) 2006
スカイ・クロラ』(VAP) 2009

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

押井守監督の「勝つために見る映画」

押井監督の実績が証明する、管理職の勝敗論

2013年11月5日(火)

(前回から読む

 本連載の担当Yです。
 この連載を始めた頃は、押井監督からすんなり取材時間をいただけたのですが、映画の企画が続々立ち上がって、どんどんスケジュールがタイトになり、ついに連載をまとめた単行本、『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』発売に向けたインタビューすら出来なくなってしまいました。

 押井さんはいまや超売れっ子監督。現在は「パトレイバー実写版」のシリーズと劇場版、そしてカナダで制作中の「The Last Druid: Garm Wars」の作業が平行して進行中です。

 監督は、「監督の勝利条件は次回作が撮れるかどうかだ」と、この連載で語ってきたわけですが、今回は押井監督の発言、人となりを知るお二人をお招きして、現在売れっ子の押井監督の状況について、まぐれなのか本当に勝利条件を満たしたからうまくいったのかを分析したいと思います。インタビューと構成をご担当頂いた野田真外さん、そして長く活字メディアでの「押井番」を勤めてこられた、作家の山下卓さんです。「好き勝手言ってくれて…欠席裁判だね」と、タイトルまで頂いた押井監督に改めて、感謝を捧げます。(Y)

山下卓(やました・たかし)、小説家/編集者。「WIRED」日本版記者などを経て小説家となる。押井守との付き合いは「WIRED」誌でのインタビュー。その後「WIRED」誌から「サイゾー」誌に至る押井守の連載を十年以上にわたって担当。手がけた押井守著作に『これが僕の回答である』(インフォバーン)『コミュニケーションは、要らない』(幻冬舎新書)。主な著作に『BLOODLINK』シリーズ(徳間文庫)。『ノーサイドじゃ終わらない』(幻冬舎文庫)『近藤良平という生き方』(エンターブレイン)などがある。

野田真外(以下野田):現在の押井さんは「勝利条件」ということをよく言いますが、実際は「勝つために」というよりは「負けない」というのが基本方針ですよね。

山下卓(以下山下):昔の押井さん、具体的に言えば「天使のたまご」まではどんどん上に上がっていくぞ、という感じでしたよね。

野田:勝つための戦略で動くという感じではなかったですよね。もっとがむしゃらな感じでやってたように思います。

山下:でも「天使のたまご」の前後でいろいろあって、3年くらい仕事がない期間があって、苦汁をなめているんですよね。その結果、じゃあ生き残るためにどうするんだとか、負けないために何をすべきかとか、たぶん相当考えたんだと思います。それがいまの押井さんの言葉になっているような気がします。

野田:たぶんそうですよね。いまそのころの押井さんについての文章を書いているんですけど、時系列で見ていくとやっぱり「機動警察パトレイバー」のOVAまでは結構周りに対して突っ張ってるんですよね。これじゃなきゃやりたくない、とか言って。

作品で見る、押井戦略が明確になったタイミング

野田:でもあの「機動警察パトレイバー」OVAの仕事を受けることにして、結果的に作品がヒットして映画も作ったあたりから、たぶん変わってきたんじゃないかな、と思ってます。戦略が明確になったというか。

 実際、その前には「迷宮物件」とか、さらには実写の「紅い眼鏡」というステキな怪作も作ってますし。

山下:あのころは自分の才能と感性だけを信じてやったていられたんでしょうね。そのうちの1つ「ビューティフル・ドリーマー」で成功して、それで夢を見た。ところが、やっぱりそこから職業監督としては一度低迷していくわけで。

山下:押井さんの論理は、そうなった時に「絶対に次は当てなきゃいけない」ではないんですよね。市場がどうこうというよりは、「たとえ外れたとしても絶対に次の仕事が来るようにしなきゃいけない」と。

野田:やっぱり、仕事を干された時期にかなり考えたんでしょうね。

山下:監督として、演出家として、映画にかかわり続けるにはどうすればいいのかと。それは会社の人間が、自分の会社なり、その部署に居続けるにはどうしたらいいのかと似ているところがあるんでしょうね。野心いっぱいでどんどん世界に進出とかじゃなくて、好きな仕事を長く続けるにはどうすればいいのかという感覚だと思うんです。長くやり続けたいから絶対、引退なんて言わないし。撮らせてくれる限りはいつまでもやると。

野田:「監督の勝利条件は、次に撮る権利をいかに留保するかだ」というのが口癖ですよね。

【映画監督=中間管理職は“戦争”を仕切る】

 「天使のたまご」をやっていた時期は「監督の勝利条件とは?」なんて考える必要すらありませんでした。ところが、「攻殻機動隊」が米国のビデオセールスで1位になって騒ぎになると、いろんな人間がやってきて、いろんなことを言うようになりました。僕のまわりから金の匂いがし始めたら、コロッと変わるわけです。

 ただ、僕が作っているもの自体は何も変わってない。その頃からようやく僕も、自分が監督をやるうえで一番大事なのは何なんだろう、監督の勝利条件って何なんだろう、ということを考えるようになりました。

 そして、「1本の映画を作るというのは戦争をするのと同じようなものだ」と思

うようになったんです。

(『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』より引用、以下同)

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