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遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

東京福祉大学・国際交流センター センター長、筑波大学名誉教授

遠藤 誉

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員教授などを歴任。2児の母、孫2人。

◇主な著書
チャーズ 中国建国の残火』(朝日新聞出版) 2012
完全解読 「中国外交戦略」の狙い』(WAC) 2013
中国人が選んだワースト中国人番付 ―やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ―』(小学館) 2014

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ニュースを斬る

いま、ドイツと北京を直通列車が走っている

2014年4月10日(木)

 今年3月24日と25日、オランダのハーグで核セキュリティ・サミット(NSS)が開催された。オバマ大統領と会談した中国の習近平国家主席は、閉幕後、フランスやドイツ、ベルギーなど、ヨーロッパ諸国を歴訪した。

 そこから習近平政権の「中国とヨーロッパ連合(EU)をつなぐ、巨大な新シルクロード構想」が見えてくる。その戦略を解説したい。

重慶市とドイツのデュースブルグを直結する「渝新欧」路線

 今年が「中仏国交樹立50周年」であることから、習近平は27日にパリで開催された「中仏国交樹立50周年記念大会」に参加し、オランド大統領とともに講演をした。

 両首脳は会談の中で、習近平政権のスローガンの一つとされている「中国の夢」を用いて「中国とフランスの夢を実現する」という声明を出すなど、愛想を振りまいた。そして経済、金融、通貨システムなどの上で協力を強化することで意見が一致した。

 次に訪れたドイツで起きたことは、日本ではあまり報道されていない。

 習近平が3月29日にドイツのデュースブルグ(Duisburg)に着いた瞬間に合わせて、貨物を満載した重慶市発の列車が、終点であるデュースブルグに到着したのだ。

 この列車は2011年1月に開通したもので、重慶(渝)と欧州を直結するという意味で、「渝新欧」路線と呼ばれる。

 「渝新欧」は、重慶市を出発して、西安、蘭州、ウルムチ(新疆ウィグル自治区)を経て北彊鉄道を西に越え、同じくウィグルの阿拉山口を経てカザフスタンに入り、ロシア、ポーランドを通り、ドイツのデュースブルグに到達する。全長1万1179キロという、世界最長路線の一つだ。

 この路線を使えば、東南アジアを回って海に出る必要もなく、それまで38日間かかった旅程も、16日に短縮される。途中でいくつもの国境を越えるので、その度に運航規則が変わり、運転手を換えるので16日間かかってしまうのだという。全長750メートルの貨物列車が、週3回ほど往復する。

 世界有数の河港を持ち、ルール工業地帯の要衝であるデュースブルグには、重慶市からだけでなく、北京市および上海市からも直通の列車が出ている。

中国EUを結ぶ新シルクロード経済ベルト構想

 そのデュースブルグで、習近平は以下のようなスピーチを行った(細かな表現は省略して大意を書く)。

 「中国はこれまで提唱してきた新シルクロード経済ベルト構築を通して、アジア・ヨーロッパ市場を連動させ、このベルト上に沿う関係各国が互いに利益を得られるようにしたいと思っている。中国とドイツはこの経済ベルトの両端に位置する。この渝新欧鉄道はまさに両国の交流を象徴するもの。そしてデュースブルグは世界最大の河港を持ち、ヨーロッパの重要な交通物流の要だ。中国はドイツと力を合わせて新シルクロード経済ベルト建設を推進していきたい」

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