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川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

川端 裕人

20世紀末に書いた、"ロケット打ち上げ小説”『夏のロケット』(第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞)が、近年の民間宇宙開発の流れの中で、"現実に追い越された"と実感。そして「夏のロケット2015」は、今SFマガジンに「青い海の宇宙港」として連載中です。

◇主な著書
雲の王』(集英社) 2012
12月の夏休み』(偕成社) 2012
風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(集英社文庫) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 20世紀末に書いた、"ロケット打ち上げ小説”「夏のロケット」が、近年の民間宇宙開発の流れの中で、"現実に追い越された"と実感。そして「夏のロケット2015」は、今SFマガジンに「青い海の宇宙港」として連載中です。

研究室に行ってみた

なぜ薬物使用疑惑をスクープにしてはいけないか

2017年6月17日(土)

覚せい剤をはじめ、違法な薬物の事件報道が時おり世間を騒がせる一方で、薬物依存症は治療が必要な病気でもある。それはギャンブル依存症などでも変わらない。では、依存症はどんな病気で、どんな人がなりやすく、どうやって治すのだろうか。日本における薬物依存症の治療と研究のパイオニアである松本俊彦先生の研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 最後に重要なことを一つ。

 インタビューの冒頭で触れたマスメディアの報道の件だ。

 芸能人などが逮捕され、過剰な報道がなされる時、松本さんのもとで治療中の患者さんでも、再使用してしまう人が増える。その都度、せっかく積み上げてきた回復への道が、何年も前の状態に戻ってしまいかねない。場合によって、ふたたび暗い穴ぼこに落ち込んで、彷徨わなければならない人も出てくる。

 それを避けるために、松本さんは、薬物報道のガイドラインなるもののたたき台を作り、今年(2017年)1月に公表したばかりだ。

「注射器と白い粉」がスイッチに

 報道する側はどんなことに気を使う必要があるのだろうか。

「薬物報道ガイドライン」を公表した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦さん。

「すごくわかりやすいことを2つお伝えしたいと思います。1つは、イメージカットで注射器とか白い粉を出しますよね。あれ、やめてほしいんです。あれを見ると、やめようと思って頑張ってる覚せい剤依存症の人たち、みんな欲求のスイッチが入るんですよ。だから、著名人が捕まる報道でメディアが騒ぐときに、私の外来の患者さんたち、ばたばたと再使用しちゃってるんですよ。もう本当に、やめてくれよってくらいに毎回、起きます」

 注射器と白い粉の資料映像は超定番で、薬物報道では必ずと言っていいほど目にする。ぼくは20世紀の最後の方に8年間ほどテレビ局に勤務していたが、その頃、すでに確立しており、「覚せい剤? 資料映像もってこい!」的にすぐに使えるものとして準備されていた。

 それが、治療中の患者の再使用スイッチを押してしまう! 言われないと気づかないことだ。なお、この「白い粉と注射器」という演出は、日本独特の覚せい剤乱用とその取り締まりからなるカルチャーが創り出したものらしい。松本さんは、他の国でこの手の資料映像を見たことがないという。

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