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北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

北村 豊

1949年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。住友商事入社後、アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。中央大学政策文化総合研究所客員研究員。中国環境保護産業協会員、中国消防協会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 昨年12月末に40年と9カ月勤めた会社を退職して無職の年金生活者となりましたが、幸せなことに健康で気力も充実。論語は「30にして立つ」ですが、今や“六十三而立(63にして立つ)”と思い定めて、中国鑑測家と名乗って文筆業に打って出ました。中国・キタムラリポートは2006年4月の日経ビジネスオンラインのスタート時点から連載を始めたもので、すでに丸7年が過ぎ、今年4月からは8年目に突入しますが、さらなる充実を目指します。

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

なぜ中国の若者はその「家族写真」を恐れたのか

2017年5月26日(金)

 インターネットを通じて移民サービスを行う企業の“海那辺”は、中国版LINE“微信(WeChat)”に持つ自社の“公衆号(公式アカウント)”で5月13日に『一個年青人背後七個老人, 這張恐怖的全家福, 暴露了中国人真正的危機(1人の若者の背後に7人の老人、この恐ろしい家族そろっての記念写真は、中国人の本当の危機をさらけ出している)“』と題する“軟文(記事体広告)”を発信した。

 この企業広告はそこに書かれていた内容がネットユーザーの注目を集めたことから、多数のニュースサイトにも転載された。この結果、5月17日には一部サイトの“熱捜榜(検索ワード人気ランキング)”で「“一張恐怖的全家福(1枚の恐ろしい全家福)”」というワードが第1位になった。海那辺が微信の公式アカウントで発信した“軟文”には、上述した題名の下に一家8人の“全家福(家族そろっての記念写真)”が掲載され、その下に広告文が表示されていた。ネットユーザーの注目を集めた広告文の概要は以下の通り。

年金破綻の老人7人を一人っ子が支える

【1】この“全家福”は江蘇省“如東県”に暮らす“一胎政策(一人っ子政策)”を遵守した家庭の写真である。1人の20歳過ぎの大学生、1組の50歳近い父母、1人の“外公(母方の祖父)”、1組の祖父母、1組の曽祖父母が写っている。一家8人の中にただ1人の若者。これこそ正に恐ろしい“全家福(家族そろっての記念写真)”である。

【2】もしこの若者の結婚相手が彼と同様に“独生子女(一人っ子)”なら、恐ろしさはさらに増幅される。立場を変えて私が彼だとすれば、自分の背後に7人の年長者を抱えているわけで、彼らが死ぬまでの老後の面倒は全て自分1人の肩に重くのしかかってくる。これをどう考えればよいのか。この1枚の“全家福(家族そろっての記念写真)”は、長期にわたった一人っ子政策の弊害をさらけ出しているだけでなく、中国人の目前にある最大の危機をさらけ出しているのである。中国人にとっての最大の危機とは、ここ数年人々を悩ませている「高い住宅価格」や「中産階級の危機」ではなく、“養老(老人扶養)”の問題なのである。

【3】中国の“養老金(養老年金)”財政が赤字であるというニュースはここ数年度々報じられているが、一体全体本当に赤字があるのか無いのか、あるならどれ程の赤字額なのか、どうして赤字になったのか。これらは諸説紛々で、今に至るもわけが分からない。すなわち、2015年7月2日付の中国メディアは、「年金赤字が顕著に拡大、18の“一級行政区(省・自治区・直轄市)”で収入が支出に追い付かず」と題する記事を掲載し、『“2014年中国社会保険発展年度報告”』によれば、中央政府の財政補助を差し引くと、全国の年金財政の赤字は年々拡大の一途をたどっていると報じた。全国の年金財政に赤字が出現したのは2013年からで、同年の財政補助を差し引いた後の赤字額は959億元(約1兆5350億円)であったが、2014年には1536億元(約2兆4580億円)、2015年には3025億元(約4兆8400億円)と赤字額は拡大している。

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