北村 豊

北村 豊

中国鑑測家

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 昨年12月末に40年と9カ月勤めた会社を退職して無職の年金生活者となりましたが、幸せなことに健康で気力も充実。論語は「30にして立つ」ですが、今や“六十三而立(63にして立つ)”と思い定めて、中国鑑測家と名乗って文筆業に打って出ました。中国・キタムラリポートは2006年4月の日経ビジネスオンラインのスタート時点から連載を始めたもので、すでに丸7年が過ぎ、今年4月からは8年目に突入しますが、さらなる充実を目指します。

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」 中国・トラック運転手3000万人がスト敢行?

退路を断って決死の抗議行動に打って出たワケ

  • 2018年06月15日(金)
中国でトラック運転手による全国規模のストライキが行われた

 南米最大の経済を誇るブラジルでは5月21日から連続で10日間にわたるトラック運転手によるストライキが行われた。これは世界的な原油価格の高騰とブラジル通貨「レアル(BRL)」安により燃料価格、特にトラックの燃料となるディーゼルオイルの価格が値上がりしたことが原因であった。ディーゼルオイルの値上がりによりトラック運転手が生活苦に直面したことから、彼らを束ねるトラック運転手協会が燃料価格の引き下げを求めてストライキに突入したのだった。

 トラック運転手による長期ストは物流を滞らせ、各地の工場を生産停止に追い込み、庶民の生活に深刻な影響を与え、ブラジル経済に大きな損害を与えて、経済成長率の引き下げを余儀なくさせた。

 さて、中国でも6月10日にトラック運転手による全国規模のストライキが呼びかけられた。これは燃料価格の高騰、各種各様な通行税、各地の交通警察や運輸管理部門による過酷な搾取に堪え兼ねたトラック運転手が全国の仲間を結集する形で抗議行動に打って出たものだった。

 メディアやインターネット上の情報によれば、6月8日に重慶市、江西省“修水市”、安徽省“合肥市”、山東省“聊城市”、貴州省“銅仁市”などでは6月10日の本番に先行する形でストライキが始まり、多数のトラックが高速道路、国道、駐車場などに集結して燃料価格の値下げと運賃の値上げを要求すると同時に、トラックに対する交通警察や運輸管理部門による勝手気ままな罰金徴収などの不公平な処遇を止めるよう呼びかけた。

 6月8日、四川省“成都市”ではSNSの“微信(WeChat)”を通じて、トラック運転手に対して次のような呼びかけが行われた。

トラック運転手諸兄

 成都市では6月10日に全ての営業貨物トラックがゼネラルストライキを行います。これと同時に、全ての営業貨物トラックが成都市へ物品を運び入れる、成都市から物品を運び出すことが禁止されます。その時、成都市の外環状道路には人を派遣して巡回調査を行い、営業貨物トラックを見つければ一律に戻るよう説得しますが、頑迷で逆らう場合は車両を叩き壊します。反抗者がいればその場で決着を付け、成都市の何万人ものトラック運転手がその責任を負います。全国のトラック運転手たちよ、この事を心に留めて協力願います。
成都協会

 上記の呼びかけは成都協会の名義で行われたが、成都協会とはいかなる協会なのかは分からない。恐らく成都市のトラック運転手が団結して設立したものと思われるが、無認可の組織であり、誰が責任者であるのかも不明である。同様の呼びかけは全国各地で行われたと思われるが、ネットの記事で確認できるのは上記の成都協会の呼びかけだけである。

    著者プロフィール

    北村 豊

    北村 豊(きたむら・ゆたか)

    中国鑑測家

    1949年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。住友商事入社後、アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。中央大学政策文化総合研究所客員研究員。中国環境保護産業協会員、中国消防協会員。

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