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河村 耕平(かわむら・こうへい)

英エジンバラ大学専任講師

河村 耕平

英エディンバラ大学経済学部専任講師。2000年早稲田大学商学部卒。同大学院商学研究科修士課程修了後、2007年英オックスフォード大学経済学博士課程修了(DPhil)。専門は情報の経済学、政治経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「気鋭の論点」

アマゾン、価格コム…極端なカスタマーレビューにだまされないコツ

2013年4月19日(金)

 このサイトの読者で、アマゾンや価格.comのカスタマーレビューや、ぐるなび等飲食店情報サイトの「口コミ」情報をご覧になったことがない方はいないだろう。アフィリエイトの有無に関わらずフェイスブックやブログを通して、個人発の商品・サービスの情報を得ている方も多いはず。我々はこうした情報を「額面通りには受けとれない」とは認識しつつ、購入の参考にすることも多いのではないだろうか。

 インターネットが普及して以来、そこに溢れる情報を正しく判断する能力、すなわちメディアリテラシーの必要性が言われ続けている。あらゆる個人が不特定多数の読み手に対して容易に情報発信できるようになり、我々が日々接する情報量が飛躍的に増えた半面、情報の「質」の根拠が希薄になり、その評価や真偽の識別は各々の読み手に任されるようになった。

ネットにあふれる「チープトーク」

 経済学やゲーム理論では、このような情報伝達を「チープトーク」と呼ぶ。その名の通り、安っぽい言葉、すなわち口から出まかせ、といった意味合いだ。正確に言えば「情報の送り手が、根拠もコストも無しに発信できるメッセージ」であり、ネット上の情報の多くが該当する。本稿では、ゲーム理論を使ってそうした情報をどのように読み解けるか、ご紹介してみたい。

 情報の送り手がチープトークを発する状況では、まず彼らが必ずしも正確な情報を伝え「ない」誘因を考えることが重要になる。例えば、訪問先で振る舞ってもらった料理がおいしいかとその場で聞かれれば、真実の意見はどうあれ、ほとんどの人が「おいしい」と答えるだろう。それは、礼儀のためや場をわきまえるためなど、例えまずいと感じた場合でも「おいしい」と言うことで、その場の雰囲気を壊さない方向へ真実を曲げる誘因があるからだ。

 このタイプの真実を歪める誘因を「片側バイアス」と呼ぼう。その特徴は情報の送り手が真実を曲げる方向が1つ(この例では真実と比較して「まずい」ではなく「おいしい」という側へ)である点だ。当然、賢明な情報の受け手はそうしたバイアスの存在は意識、無意識のうちに分かっている。結果として、褒められる側も褒め言葉を相当割り引いて解釈し、料理の質に関する情報はほとんど伝達されない、というコミュニケーションが成立することになる。また、バイアスが極めて強い場合には、食事の質がどうあれ常に「とてもおいしい」と答えることとなり、有意な情報の伝達は全くなくなってしまう。

 ネット上の情報にも当然こうした片側バイアスが存在する。芸能人、政治家や一般人のブログ記事では、書き手に都合の良い、イメージを高めるように情報を歪める片側バイアスがあるので、書き手をよく見せるような情報は割り引いて考える必要がある。バイアスが極度に強い場合には、都合の良い情報に溢れ、有意な情報伝達は成立しない。逆に、バイアスがそれほど強くなく、書き手に都合の悪い情報をわざわざ開示する場合には、その情報をほぼ額面通りに信頼できるだろう。

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