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御立 尚資(みたち・たかし)

ボストン コンサルティング グループ シニア・アドバイザー

御立 尚資

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士(MBA with High Distinction)。
日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。
国連WFP協会 理事、京都大学客員教授、複数の企業の社外取締役・NPOの理事も務めている。

■ボストン コンサルティング グループ ウェブページ

◇主な著書
使う力 知識とスキルを結果につなげる』(日本経済新聞出版社) 2013
変化の時代、変わる力 続・経営思考の「補助線」』(日本経済新聞出版社) 2011
戦略「脳」を鍛える』(東洋経済新報社) 2003

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」

良いポピュリズムと悪いポピュリズム

2018年5月21日(月)

何でクマのぬいぐるみがあるのだろう…(写真:paylessimages / 123RF)

 今年は横山大観の生誕150年。このため、大きな展覧会やメディアでの特集が相次いでいる。大観は、明治元年に生まれ、文明開化、西洋文化の急激な流入という大きな流れの中で、師である岡倉天心、橋本雅邦や、東京美術学校の同期である菱田春草らとともに、「日本画」というジャンルを作り上げた一人だ(ちなみに、日本画とは明治以降、洋画との対比で生まれてきたジャンルである。それまでの、屏風、掛け軸等の伝統的絵画は、なんらかの実用に供される匠の技の所産であり、例えば「南蛮屏風」というジャンルはあっても、「日本」画と呼ばれるものは存在しなかった)。

 近代日本画が大好きで勝手に応援団を自任しているので、こういった展覧会や記事・番組を嬉々として追いかけているが、中でも東京北の丸の国立近代美術館で5月27日まで開催されている「生誕150年 横山大観展」は見ごたえがあった(6月以降、京都国立近代美術館に巡回予定)。

 大観の画業を時系列でカバーしており、40メートルを超える日本一の長さの絵巻、「生々流転」(水墨画、重要文化財)、あるいは数多く描いた富士山のうち、大正期の名作「群青富士」など、見どころが満載だ。個人的には、朦朧体と呼ばれた(それまでの伝統絵画に特徴的な輪郭線を書かない)明治期から大正初期の作品がもともと好きで、今回も堪能させてもらった。

 さて、早世した盟友、春草と違い、昭和33年に89歳で没するまで明治・大正・昭和の全てを生きた大観には、戦時中の戦争協力に対する批判が根強くある。昭和15年には、軍に寄附をする目的で絵画シリーズを描き、その収益で爆撃機、戦闘機計4機を日本軍に献上、それらの飛行機は全て大観号と名付けられた。

ヒットの秘訣は「ポストの上のクマ」

 最近、放映されたNHK 日曜美術館の大観特集の中で、作家の高橋源一郎さんが、この点に関して、「大観は国民大衆が共通してもつ『無意識』に感応し、それを描きだす中で、戦争協力的な姿勢が強まっていった」という意味のことをおっしゃっていた。

 昭和の軍国主義の時代を、エスタブリッシュされた画家として生きた大観だが、最初のうちは、国民の中にある「国粋的な気分」を感じ取り、おそらく無意識のうちに、それを具体的な絵画として描いたのだろう、ということだ。確かに、高い評価を受ける芸術家は、その繊細な感覚を通じて、(肯定的に受け取るか、否定的に受け取るかは別として)時代精神のようなものを、それが明確な形を取る前に感じ取り、作品として表現する、あるいは、してしまうところがあるのかもしれない。

 この話を聞いて思い出したのが、平成の大ヒットメーカー川村元気さんがおっしゃっていたことだ。『電車男』、『君の名は。』、『おおかみこどもの雨と雪』、『億男』など次々とヒットを飛ばす川村さんは、希代のプロデューサーであり、クリエイターだ。お目にかかって話すたびに感心することが多いのだが、彼がヒットの秘訣としてたとえ話をしてくれたのが、「ポストの上のクマ」の話である。

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石川 康晴 ストライプインターナショナル社長兼CEO