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染原 睦美(そめはら・むつみ)

日経ビジネス記者

染原 睦美

1981年生まれ。2004年中央大学文学部卒業。日経BP社に入社し、『日経パソコン』に配属。2009年『日経ウーマンオンライン』立ち上げに関わり、企画、編集、運営、コミュニティサービスのプロジェクトマネージャーを担当。2013年4月から『日経ビジネス』記者。IT担当、百貨店・アパレル担当を経て、化粧品・日用品、ドラッグストア、書店・出版社などを担当。趣味は洗濯、昼酒、ピクニック。好きな食べ物は唐揚げ、酸辣湯麺、あんこもち。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 最近、ベランダに雀が来ます。「チュン太」と呼んで、かわいがっています。毎朝、お米をあげていたら、朝起きたらすでにベランダで待っているようになりました。そのうち、たまに家の中に入ってくるようになりました。

記者の眼

「カネボウ」の原点、クラシエが10年目の挑戦

2017年8月8日(火)

 「クラシエはこれから面白くなる」。記者発表会でそう力を込めたクラシエホームプロダクツの岡田尚樹社長。8月3日に開いた記者発表会での一幕だ。同社はこの日、皮膚洗浄時の角質層に着目した独自の洗浄技術「ラメランステクノロジー」を発表した。

 ラメランステクノロジーは、角質内の「ラメラ構造」に着目。洗浄剤を使用した後に、皮膚の水分が急激に低下するのは、洗浄液が角層内のラメラ構造を壊すからだという原因を突き止めた。クラシエでは、ラメラ構造を壊さない洗浄剤を作るため、特徴的な3つの成分を採用によって、新たな洗浄剤を製造することに成功した。ラメランステクノロジーを使った洗浄の場合、洗浄液を使わずに水で洗浄したのと同程度の水分蒸散量を実現できたという。

 クラシエの2016年12月期の売上高は約915億円、営業利益は約55億円。そのうち、ヘアケアの「いち髪」やボディケアの「ナイーブ」などのホームプロダクツが売上高、利益ともに約半分を占めている。クラシエの中心となる事業で新技術を発表したのは、主力事業での大型技術投入以上の大きな意味がある。

 会見内で、岡田社長は、その歴史を振り返り、1936年に日本で始めて繭から取れる材料で絹石けんを登場させたことに触れた。高級石けんとして海外へも輸出されていたといい、「ホームプロダクツの原点。それ以来、80年以上にわたって皮膚洗浄の研究開発を受け継いできている」と力を込めた。

クラシエは、記者発表会で「研究開発の集大成」と謳い、ラメランステクノロジーを発表した

 クラシエは、ご存知の通り、2004年のカネボウの破綻を経て、2007年に誕生した会社だ。カネボウの化粧品部門を花王が、それ以外のホームプロダクツ、食品、薬品などをクラシエが引き継いだ。80年以上にわたって受け継がれてきた技術も、途絶えることになりかねない同社史上大きな出来事であったのは間違いない。その技術力を、今一度原点に戻って、示したのが今回のラメランステクノロジーとも言える。「技術だけでこれほどの規模の発表会を開くのは、クラシエ史上初めて」(岡田社長)という言葉にもその「気合い」が見て取れる。「難し局面を乗り越えてきて、将来を見据えた事業戦略をようやく描けるようになった。非常に感慨深い」と岡田社長に言わせるほど、大きなイベントだったということだろう。

ブランド認知度は4年で13ポイント上昇

 クラシエの復活の軌跡は、日経ビジネス最新号8月7日号、14日号の『挫折力』特集にも詳しいので、詳細はそちらに譲るが、資金力がない中で、「クラシエ」という当時無名のブランドを立ち上げるのには、様々な「売り方革命」が行われたという。資金はないが、危機感だけはある――。そのような状況で、1つ1つのブランドを着実に育ててきた10年間だった。当時立ち上げた「いち髪」ブランドのシャンプーは10年で100億円ブランドに成長したという。

 日経BPコンサルティングが毎年行う「ブランド・ジャパン」調査でも、2013年から2017年にかけて、クラシエという名前の認知度は13.2ポイント上昇し、過去最高となった。「フレンドリー」、「コンビニエント」、「アウトスタンディング」、「イノベーティブ」という4指標からなる「ブランド総合力」も、2017年は過去最高値となった。「5年間でこの数字の伸びはかなり高い方と言える」(日経BPコンサルティング)という。「カネボウ」という「ブランド」を剥がされ、ゼロから作り上げたブランドが、ようやくたどり着いた「10年目」だ。

 クラシエのR&Dは、今でこそ売上高の3~4%強だが、これも時間をかけて、少しずつ増やしてこられた数字だ。今回の発表を機に、「新ブランドをこれからどんどん出していきたい」(岡田社長)と気合いが入る。

 今回のラメランステクノロジーを採用する洗浄剤は、9月13日に発売予定だ。ドラッグストアを主軸に、ポンプ型を800円程度で販売する。2014年に立ち上げたヘアケアブランド「ディアボーテ HIMAWARI」と同程度の販促費用を使い、大々的に宣伝も行う。同社にとって、久々の大型ブランドの立ち上げになる。

ラメランステクノロジーについて発表を行うクラシエホームプロダクツの岡田尚樹社長

 化粧品業界では、技術を全面に出した商品開発が相次いでいる。例えば、2017年1月にはポーラが薬用化粧品として厚生労働省の認可を初めて受けたシワ改善を謳った「リンクルショット メディカル セラム」を発表。後を追うように資生堂も厚労省の認可を得て、6月からシワ改善を謳った薬用クリームを発表。コーセーは、現存する複数のコスメデコルテのブランドの一本化を発表。その記者発表会において、使用する技術や科学的な裏打ちについての説明に多くの時間を割いた。

 技術は各社注力する分野で、クラシエが今回のラメランステクノロジーを採用した洗浄剤ブランドでどこまで伸びるかは分からない。“生き別れ”となったカネボウ化粧品の売上高は、6016億円(花王のソフィーナなども含むビューティケア事業、2016年12月期)と、まだ背中さえ見えない。それでも、10年かけて危機から復活してきた底力がこの秋、少なからず垣間見られるはずだ。

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