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池田 琢磨(いけだ・たくま)

ノムラ・インターナショナル シニアエコノミスト

池田 琢磨

1990年東京工業大学工学修士課程修了、96年東京大学経済学修士課程修了。野村総合研究所、郵政研究所、野村総合研究所アメリカ、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルを経て、2007年より現職。Institutional Investor Magazine誌の2010年欧州経済調査部門で2位にランク された。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 3月後半に、欧州9ヶ国を駆け足で回ってきました。経験した気温は、摂氏21度から氷点下13度、時差も2時間と改めて欧州の広がりと多様性を実感しました。同様に危機対応の政策当局者の考え方についても、南北(アリとキリギリス)間で大きな隔たりがあることも確認できました。

 リスボン市内では、燃料代が払えなくなるので、月後半は車が減るのだとか。アテネでは、暖房代が高騰したため、代わりに暖炉で薪を燃やしているのだそうです。他方、家族や親族が支え合ったり、保険をもらう手前失業していることにはなっているけれども、実は小遣い程度は所得があるのだとか、南欧諸国の人々のたくましさも感じました。

Money Globe ― from London

「新しい」ECB、新たな亀裂

2013年11月21日(木)

 欧州中央銀行(ECB)は11月の政策理事会で、「今後長期にわたって低インフレ率が続く」として、主要オペ(MRO)金利を0.5%から0.25%へ引き下げる決定をした。これは筆者も含め、大方の市場参加者にとって予想外のタイミングだった。

 「予想外」であったことは、むろん筆者の予測者としての無能を意味する。だが、これは、従来のECBの行動様式からはうかがい難かった「新しい要素」があるからとも言えるだろう。そして、このECBの「新しさ」は、ユーロ圏安定化の観点から見れば待ち望まれたものであるが、他方でECB内部に新たな亀裂を生むのではないかと考えている。

史上初、ECB総裁の「インフレ率は上昇すべき」発言

 「新しさ」は、例えば利下げ決定後のマリオ・ドラギ総裁の会見に表れている。

 総裁は、(1)10月のインフレ率が1%を割り込むなど中期的な基調インフレ圧力がさらに後退し、(2)与信活動が抑制され、(3)中期的インフレ期待がしっかりと抑制されているとし、これら(1)~(3)の要因は「今後長期間にわたって低インフレが続くことを示唆」しているとした。

 さらに、こうした低インフレは「今後2%を下回るが、それに近い水準まで緩やかに上昇すべき」であるとした。筆者の記憶する限り、ECB高官が「インフレ率が上昇すべき」であると公言したのは初めてである。

 筆者のようにECB、さらにはその実質的前身であるドイツ連邦銀行を長年見てきた者からすれば(なにせ筆者の自慢の1つは東西ドイツ統一直後にドイツ連銀総裁を務めたヘルムート・シュレージンガー、ハンス・ティートマイヤー両氏から直筆の手紙を頂いたことだ)、ECBはインフレには「過敏」である一方、デフレには「鈍感」な中央銀行であった。

 しかし、インフレ率が2%を下回るがそれに近い水準まで「上昇すべき」とした総裁発言は、ECBがもはやインフレ目標からの上振れはもとより、下振れに対しても等しく対応することを宣言したことになる。まさに隔世の感で、ドラギ総裁の下でECBは面目を一新しようとしているように見える。

 会見で総裁は、ユーロ圏でデフレが生じているという見方を否定した。一方で、10月のインフレ率が前年比0.7%まで低下したことは、ECBにとっても予想以上であったことを認めた。さらに、インフレが適度に維持されるべき理由として、域内の価格を通じた不均衡の調整はある程度インフレであるほうが容易であること、景気が回復してきたものの依然脆弱でインフレ率低下による実質金利上昇が望ましくないことなどを指摘し、いわばデフレの弊害を認めた。長らくデフレの弊害に苦しんできた日本人の経験を踏まえれば、誠に適切な政策判断である。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長