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鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

鈴置 高史

1954年、愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。77年、日本経済新聞社に入社、産業部に配属。大阪経済部、東大阪分室を経てソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~03年と06~08年)。04年から05年まで経済解説部長。95~96年にハーバード大学日米関係プログラム研究員、06年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

◇主な著書
中国という蟻地獄に落ちた韓国』(日経BP社) 2013
中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』(日経BP社) 2013
朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社) 2010

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 新刊『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』を12月15日に発刊しました。日経ビジネスオンライン連載コラム発の単行本シリーズ第7弾となります。2015年9月、朴槿恵大統領は米国の反対を振り切り、中国・天安門で開かれた抗日戦勝70周年記念式典に出席しました。10月にはオバマ大統領が、南シナ海の軍事化を進める中国をともに非難するよう求めましたが、対中批判を避けました。韓国の急速な「従中」の動向を追い、その意味と影響を読み解きます。

早読み 深読み 朝鮮半島

早くも空回り、文在寅の「民族ファースト」

2017年7月26日(水)

趙明均統一部長官が7月17日、文在寅大統領が掲げた「ベルリン構想」の後続措置を説明、南北対話を提案したが…。(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

 韓国の「外交迷走」がひどくなる一方だ。

対話提案は空振りに

韓国が北朝鮮との対話に動きました。

鈴置:そして無視されました。7月17日、文在寅(ムン・ジェイン)政権は軍事会談と赤十字会談をそれぞれ7月21日、8月1日に開こうと提案しました。ホットライン――直通電話を北側が断っているので、記者会見を通じての呼び掛けでした。

 軍事会談に関しては、開催予定日の7月21日になっても何の返事もありませんでした。国防部は同日「7月27日まで提案は有効だ」と発表しましたが、なしのつぶてです。こうしたことから、赤十字会談も無視されるとの見方が多いのです。

 「空振りに終わりそうなラブコール」に対し、韓国の保守系紙は極めて冷ややかです。中央日報は社説「南北軍事会談が不発、一歩目からつまずいた『ベルリン構想』」(7月22日、日本語版)で以下のように書きました。

  • 南北軍事会談がこのようにつまずくのは、準備なく急いだ側面もあるだろう。大統領の「ベルリン構想」の成果を早期に出そうという焦りが作用しているのだ。実際、政府がこのように重要な会談を推進する場合、事前の整地作業と会談後の代案まで用意する必要があった。

日米との不協和音

「ベルリン構想」とは?

鈴置:文在寅大統領がドイツでのG20(20カ国・地域)首脳会議に参加した際、7月6日にベルリンで演説し、表明した構想です。

 「条件が整えば金正恩委員長とも会う」と述べ、南北首脳会談による核・ミサイル問題の解決を訴えました。

 朝鮮半島の問題は外国の力を借りずに、朝鮮民族の手で解決しようとの発想です。7月21日に提案した「軍事」と「赤十字」の2つの会談は、その首脳会談の露払いということでしょう。

「焦り」とは、中央日報も厳しいですね。

鈴置:北朝鮮は米国との直接対話を望んでいます。韓国と対話を始めたらそれが遠のく可能性が高い。だから、北朝鮮から肘鉄砲を食うというのは読み筋でした。

 それなのに、韓国は裏交渉もせず呼び掛け、恥をかいたというわけです。多くの韓国人がそう考えたと思います。提案による副作用もありました。中央日報の社説はこう続きます。

  • 国際的な環境と北朝鮮の状況に対する評価も不足していた。その結果、政府の突発的な南北会談提案に北朝鮮は反応せず、日米との不協和音だけが高まった。

「韓国政府に聞け」

 韓国が対話を呼びかけた瞬間、米国が牽制しました。ホワイトハウスのスパイサー(Sean Spicer)報道官(当時)は7月17日の会見で韓国の対話提案について聞かれ、以下のように答えました。

  • Well, obviously those comments came out of the Republic of Korea and I would refer you back to them.
  • That being said, I think the President has made clear in the past with respect that any type of conditions that would have to be met are clearly far away from where we are now.

 まず「韓国政府に聞く問題だ」と述べ、米国は提案の相談にあずかっていない、あるいは相談があっても同意はしていないことを示唆しました。そのうえ「現状は対話に出るには遠い状態だ」と提案自体を批判したのです。

 7月4日に北朝鮮が米国まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の試験を実施しました。米国と日本が全力を挙げて北朝鮮に圧力を強めています。というのに韓国は北朝鮮に逃げ道を用意しようとしたのです。

 米国は軍事的手段も辞さない姿勢を打ち出しています。しかし南北対話が始まれば、その間は軍事行動に出にくい。米国や日本の目には、北朝鮮の核武装の時間稼ぎを韓国が幇助すると映ります。

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高田 明 ジャパネットたかた 創業者