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田中 大輔(たなか・だいすけ)

丸善・丸の内本店1階の売場長補佐

1980年千葉県生まれ。書評サイト「HONZ」のレビュワー。日経MJに隔月で書評を掲載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ニュースを斬る

今年も村上春樹は取れなかった

2013年10月15日(火)

 ノーベル賞が発表される時期になると、毎年のように、村上春樹がノーベル文学賞を取るのではないか? ということでマスコミが騒ぎだす。書店にもノーベル賞が発表される前から、ノーベル賞に合わせて、村上春樹のコーナーはつくるのか? また村上春樹がノーベル賞を取ると思うか? といった問い合わせや取材が毎年のように来るようになった。

 そして2013年10月10日、ノーベル文学賞の発表がおこなわれた。この日、新宿の某書店には8社ものマスコミが取材に来たそうだ。そのほとんどがテレビ局である。地上波のほぼすべてのテレビ局がその店に取材に来ていたのではないだろうか? そのお店の文芸担当は1日仕事にならなかったに違いない。村上春樹がノーベル文学賞を取るまで、これから毎年このような狂騒曲が続くと思うと、少しうんざりする。

ノーベル賞を取れば本は売れるのか?

 ほとんどの書店では村上春樹がノーベル賞を取ることを前提に、商品展開はしていないと思う。しかしマスコミがテレビで取り上げるので、それに応じるように、そのようなフェアを急増する書店もあるだろう。ニュースではノーベル文学賞の有力候補と村上春樹の名が連呼される。それを見て村上春樹の本を買おうと思うお客様も中にはいるからだ。

 実際、知人のお店で、今年は村上春樹がノーベル賞を取るとニュースで見たから、その前に村上春樹の本を買っておこう、というお客様がいたそうだ。残念ながら今年も村上春樹はノーベル文学賞に輝かなかった。知人のそのお店で、ノーベル賞を取らなかったからという理由でその本を返品するようなことがないことを願うばかりである。

1Q84

 今年も村上春樹はノーベル文学賞を逃したが、もし取ったとしても、あまり売り上げには影響がないのではないだろうか? なぜかというと、ノーベル文学賞は直木賞や芥川賞と違い作品に与えられる賞ではなく、人に与えられる賞だからだ。作品に与えられる賞であれば、受賞作を買えば済む。しかし、人に与えられるとなると、どれを読んだらいいのか、人々は選べないのではないだろうか?

 実際、今年受賞したアリス・マンローの著作は、日本で4冊ほどが新潮クレスト・ブックスから発売されているのだけれど、どれを読んだらいいのか? 私には分からない。では、もし国民的人気作家である村上春樹がノーベル文学賞を取ったとしたら、いったいどの作品が売れるというのだろうか?

 1987年に発売され、社会現象にもなった『ノルウェイの森』は2010年の映画公開時には1000万部を超えたと伝えられている。また、こちらも発売時に社会現象となった『1Q84』は3冊合計で400万部を超えているそうだ。4月に発売された最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は発売1週間で100万部を突破したというニュースが世間を賑わせたのは記憶に新しいところだ(ただ、この100万部というのは刷り部数であり、実際にどれだけ売れているのかは定かではない)。

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