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大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

大西 孝弘

1976年横浜市生まれ。上智大学法学部卒業後、2001年から月刊「日経エコロジー」、2006年から週刊「日経ビジネス」で主に自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。
自動車など製造業に足場を置きつつ、「経営者の突破力」、「短期と長期の成長モデルの違い」、「規制と競争」などをテーマに企画を考えている。

◇主な著書
孫正義の焦燥』(日経BP社) 2015年

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

後悔しない航空&ホテル

JALが競争劣後の座席を刷新するまで

2017年11月2日(木)

 日経ビジネスが実施したエアライン満足度調査で、日本航空(JAL)は座席の評価で全日本空輸(ANA)に差をつけた。特に座席同士の間隔を広げたエコノミークラスが高い評価を受けている。経営破綻というどん底から、どのように座席作りを見直したのか。JALの藤田直志副社長や開発担当者に聞いた。

■関連記事:エアライン・ホテル満足度調査の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。 「出張で使いたい航空&ホテルはココだ 満足度で国際線トップはカタール航空、国内線はJAL

 「シートが競合に比べて劣後していた」。日本航空(JAL)の関係者は口をそろえる。

 JALが2010年に経営破綻するまで、設備投資の余裕がなかったため、古い機材が多く、座席は特に劣化していた。

 「客室乗務員がまず乗客に『シートが古くてすみません』と謝らなければならなかった」と藤田直志副社長は振り返る。

ビジネスクラス向けの座席「スカイスイートⅢ」。フルフラットで全席が通路にアクセスできる

 ところが、今回の調査では座席への評価が高かった。座席スコア(国際線)は40.5点とランキング対象になった企業で3位につけ、36.1点だったANAを上回った。しかも、上位2社はオイルマネーによって新しい機材ばかりのカタール航空とエミレーツ航空だけであり、調査では座席に対する好意的な意見が数多く寄せられた。2012年の調査では21.1点、2014年が28.9点だから劇的にスコアが上がっている。

 この座席の刷新は、JAL再生の象徴でもある。藤田副社長は「破たん後の大きな課題が座席をどうするかだった」と話す。

 再建ではコスト削減が必須だ。座席にコストをかけることが再建の方向性と合っているのか。社内では侃侃諤々の議論があった。

 コスト削減だけでは顧客満足度を高められない。再建計画を策定するなかで、「最高の座席が将来の成長につながる」という考えにまとまり、座席にもしっかり投資することが決まった。

 そして、約3年の開発期間を経て13年からビジネスクラスに「スカイスイート」を導入。全席が通路にアクセスできる上に、座席のフルフラット化を実現した。

 エコノミークラスの座席は、従来の座席間隔から最大で10cm広げ、世界最大級のスペースを確保した。またボーイング787型機では横に9席配列するのが主流だが、それを8席に減らし、座席幅を5cm広げた。

 ただ、開発までの道のりは平たんではなかった。役員会では2つの派閥に分かれて大議論が巻き起こっていたのだ。

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