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上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券金融市場調査部チーフマーケットエコノミスト

上野 泰也

1985年上智大学文学部史学科卒業、法学部法律学科に学士入学後、国家公務員I種(行政職)にトップ合格したため中退。86年会計検査院に入庁。88年富士銀行(現みずほ銀行)に転じ、資金為替部にて為替ディーラー。90年から為替、資金、債券の各セクションでマーケットエコノミスト。94年富士証券チーフマーケットエコノミスト。2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。
早朝から内外経済・マーケット関連の調査レポートを執筆。スピーディーな情報発信、的確な問題把握と軸のぶれない主張、日銀ウオッチなどに定評がある。

◇主な著書
トップエコノミストが教える 金融の授業』(かんき出版) 2015
トップエコノミストの経済サキ読み術』(日本経済新聞出版社) 2015
No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい株式の本』(かんき出版) 2013

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

上野泰也のエコノミック・ソナー

市場からの警告なきまま進む「財政規律」の緩み

2017年6月27日(火)

日銀が実験的で大規模な金融緩和を続け、債券市場の健全性が失われた結果、様々な“副作用”が生じている。(写真:ロイター/アフロ)

 政府は6月9日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」、いわゆる「骨太の方針」最新版の中で、財政健全化目標に関する表現を修正。「基礎的財政収支(PB)を2020年度(平成32年度)までに黒字化し、同時に債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引下げを目指す」とした。PB黒字化の後に目指すとされていた債務残高対GDP比を、当面の並列目標に格上げした形である。安倍首相の意向および10%への消費税率引き上げが再延期された後の財政状況に鑑み、PBの黒字化目標は撤回して債務残高対GDP比に目標を先行き一本化するための地均し・布石だと受け止められる。

財政健全化目標、「絶対目標」から「相対目標」へシフト?

 筆者が最も問題視したいのは、上記に沿って健全化目標が(並列期を経て)差し換えられる場合、目標の性質が本質的に変わってしまう点である。黒字化という「絶対目標」から、安定的な比率低下という「相対目標」に替えられる場合、債務残高対GDP比がもともと高いという「水準」の問題が看過されやすくなり、「曲がりなりにも比率が下がってさえいればなんとかなる」といった甘え・規律の緩み・油断が生じやすくなる。付言すれば、分母(名目GDP)を定義の変更(計上対象範囲の拡大)といったテクニカルな修正によって大きくしようとするインセンティブも生じる。

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