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河野 龍太郎(こうの・りゅうたろう)

BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト

河野 龍太郎

1964年生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。87年住友銀行(現三井住友銀行)入行。大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)エコノミスト、米国大和投資顧問エコノミスト、第一生命経済研究所を経て00年から現職。

◇主な著書
金融緩和の罠』(共著、集英社) 2013

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ニュースを斬る

再び円安誘導批判が強まる懸念はある

2017年2月13日(月)

 極めて友好的な会談に終わり、懸念されていた日銀の長期金利コントロールによる円安誘導は取り上げられなかった。ただ、米国経済が完全雇用にある下で、今後、議会が追加財政を実際に決定し、FRBの継続利上げ観測が高まってくれば、ドル高・円安が進展するため、米産業界を中心に再び円安誘導批判が強まる懸念がある。日本政府の提案で、ペンス副大統領と麻生副総理による新経済対話を創設、両国のマクロ安定化政策の連携が首脳会談で決まったが、そこで為替問題に関する意思疎通が図られることを期待したい。

 日米間においては、円安を除くと大きな経済問題はなく、その円安も日米の金融政策の方向性の違いで説明可能である。確かに米自動車業界は日本市場で上手く行っていないが、それは日本の閉鎖性というより、個別企業や産業の競争力の問題であり、現に、ドイツ勢は日本市場での販売を大きく増やしている。

 今後、日本メーカーが米国で生産能力を増強することや日本の官民の資金を使って米国でインフラ投資を進めることは、日米間の軋轢発生を抑えるのに役立つと思われる。懸念されるのは、今後、米中において貿易紛争が深刻化した場合、高度なサプライチェーンの構築を背景に、日本を始めアジア諸国の経済に大きなダメージがもたらされるリスクがあることである。

 中国に国境税が課せられた場合、その一部は日本企業の負担となる。これはメキシコと米国の経済紛争が拗れた場合も同様である。米国との新経済対話等を通じて、日本は自由貿易の重要性を訴えていく必要がある。この時、保護主義的な発想で自国の既存の農業関係者を守ろうとするのでは、説得力を持たない。

 米国での入国制限について、欧州各国が米国を批判する中で、日本政府は黙認を決め込んでいる。米国の核の傘の下にあり、国防を全面的に依存している以上、日本が米国と距離を置く戦略は選択肢になり得ないということなのだろう。懸念されるのは、南シナ海問題などで、米国が軍事的行動を取る場合、日本が協調行動を迫られるケースである。この場合、ようやく改善の兆しが見えていた日中経済関係に大きな悪影響が及び、日本経済の回復に大きなダメージが及ぶ。これが、トランプ政権始動に伴う最大のテールリスクであろう。

 日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。

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