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加藤 出(かとう・いずる)

東短リサーチ社長/チーフエコノミスト

加藤 出

1965年生まれ。88年4月東京短資入社。2013年より現職。国内外の短期金融市場の現場の視線から金融政策を分析している。

◇主な著書
バーナンキのFRB 』(ダイヤモンド社) 2006

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

河野龍太郎×加藤出 金融緩和のゆくえ

アベノミクスはバブル世代以上向けの政策

2013年6月11日(火)

前回から読む)

先進国の金融緩和の危険性、副作用については、議論されているのでしょうか。

河野この対談の2回目で、各国でバブルが起こっているという話をしました。加藤さんも指摘されましたけど、ここ数年、まさにショックに対する中央銀行のアグレッシブな政策が、次なるバブルを醸成し、次なる危機を引き起こすということが繰り返されています。そろそろ、ほかの国に甚大な影響を与えるような大国は、極端な金融政策をやってはいけないという議論を始めないといけないと思っています。

大国は極端な金融政策をとるべきではない

河野龍太郎氏(写真:大槻純一、以下同)

 理論上は、管理通貨制度の下では、為替レートの変動でほかの国の金融政策の効果は遮断されますが、実際にはそうなっていません。

 結局、アメリカがアグレッシブな金融緩和をすると、多くの国は自国通貨の上昇を避けたいが故に、金融緩和が長期化し、固定化します。そのことで、さまざまな不均衡が起こっているのです。やはり基軸通貨国のアメリカ、あるいはそれに準ずるヨーロッパや日本は、ほかの国への影響も考慮し、極端な政策は取るべきではないという合意を進めていくべきだと私は思います。

加藤:バーナンキFRB議長は「先進国の緩和は、こんなに世界経済に貢献した」と最近強調していますが、裏返すと、そういう批判を相当意識していると言えます。

河野:新興国側から先進国の金融緩和への批判が起きているし、国際決済銀行(BIS)などでも議論されていますが、アメリカは金融政策は自国の利益を追求するためにやるものだと主張しています。

 ここ数年間強く感じていることがあります。先進国、特にアメリカでは、金融政策運営においてコアインフレ率しか見ていません。コアインフレ率は、食料品とかエネルギーが取り除かれている。この食品・エネルギーのコモディティ価格には2000年代以降、やや長い目で見ると上昇トレンドがありますが、FRBはアグレッシブに金融緩和をやって「コアインフレ率は落ち着いているから大丈夫」と言っている。

 結局、そうしたメカニズムがグローバルに波及していって、アメリカに対して固定的な為替レート制を取っている新興国が自国通貨に上昇圧力が加わるため、金融引き締めができない。アメリカが金融緩和すると、本来は引き締めが必要なのに追随して緩和する。

 需要の強い新興国で引き締めができないので、彼らの旺盛な需要がコモディティ価格を押し上げ、世界的に食料品とかエネルギー価格が上がっている。コアインフレ率しか意識しないアメリカをはじめ先進国の金融政策の問題と、固定的な為替レート制を取っている新興国の問題が増幅される形で、実は世界全体で見るとインフレ率が上がっています。

 極端なことを言うと、アメリカの金融緩和が迂回して世界のインフレ率を引き上げているということです。自分たちはコアインフレ率を意識すればいいと言って、コアしか見ていません。コア以外はボラティリティが高いから取り除いていますと言います。でも、エネルギー価格と食料品価格はボラティリティが大きいだけでなく、中長期的に見て伸び率が高いので、取り除いていいのかという議論があります。

 実はコア以外のインフレによってアメリカとイギリスは実質購買力がかなり抑制されていて、物価安定が損なわれているのではないか、だから、コア以外も考慮すべきではないかというのが私の見解です。

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