• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

山家 公雄(やまか・きみお)

エネルギー戦略研究所所長/東北公益文科大学特任教授/京都大学特任教授

山家 公雄

1956年山形県生まれ。1980年東京大学経済学部卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。電力、物流、鉄鋼、食品業界などの担当を経て、2004年環境・エネルギー部次長、調査部審議役などに就任。2009年より現職。融資、調査、海外業務などの経験から、政策的、国際的およびプロジェクト的な視点から総合的に環境・エネルギー政策を注視し続けてきた。
趣味は、遠距離通勤と週末家庭菜園、喫茶店での執筆

◇主な著書
再生可能エネルギーの真実』(エネルギーフォーラム) 2013
今こそ、風力』(エネルギーフォーラム) 2012
迷走するスマートグリッド』(エネルギーフォーラム) 2010

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 長野県の佐久地方で週末家庭菜園を始めて約10年、かなり農業に馴染んできました。ミニ耕運機をはじめアグリ・ツールも整い、毎年のように新種にチャレンジし、多品種少量生産が板についてきました。姿かたちをみると、かなりの確率でそれが何なのか当てることができます。ご近所の農家の方からも「上手になった」とほめられる機会も増えました。最近は、店頭では輸入が多い大蒜、落花生にチャレンジしています。

 子供が巣立つとともに、家内とと2人で季節のものをこれでもかと毎日食べますが、当然食べきれずに物々交換に回ります。作っていない米は補助食になり、米の消費が減っています。10年間の経験から、土作りが最大のポイントで、自然には従うしかないということを実感しています。

エネルギー 世界の新潮流

検証「長期エネルギー需給見通し」

2015年6月30日(火)

 長期エネルギー需給見通しの政府案がまとまった。当面のコスト削減に焦点を当てており、長期を見通したものとは言い難い。近いうちの見直しが予想される。

1.迷走した電力ミックスの考え方

 6月1日に、長期エネルギー需給見通し検討委員会の案が、委員長一任という形で了承された。7月1日までのパブリックコメント期間を経て、閣議決定される。結論は、原子力20~22%、再生可能エネルギ-22~24%、天然ガス(LNG)27%、石炭26%、石油3%との電力ミックスである。これは、省電力17%実施後の数値である(資料1)。

 まず、目的を主に概観する。エネルギーとはいうものの、ほとんどの議論は電力に集中した。中でも、原子力と再生可能エネルギ-に関心が寄せられた。両者による二項対立は生産性がないと言われるが、結果的にそうなった。原子力が確保される中で再エネは厳しく制約された。火力は特に議論されることもなく、実質6割を確保した。省エネや最終需要の4分の3を占める熱、燃料に関わる議論はあまり印象にない。

 資料2はEU(欧州連合)の発電電力量の推移である。原子力が緩やかに減少している中で、再エネが大きく伸び、火力は大きく減少している。

【頻繁に変わったターゲット・ストーリー】
原子力を確保するために、多くの議論、というよりは理屈が登場した。
いわゆる(CO2を排出しない)ゼロエミッション電源という括りで原子力・再エネで5割
→いわゆるベース電源で6割という括りで原子力・石炭で5割
→いわゆる3E(安定供給、環境、経済性)のようなもので、原発・再エネのバランスを考慮
 この変遷をみると、理屈にしても真剣に考えられたものなのか、と思ってしまう。
 焦点が当たった電力にしても、個別の議論は少なかった。長期需給見通しの議論は、かねてより3Eのバランスを考えて議論・整理されてきており「多元方程式を解く」と言われてきた。今回は、この表現は聞かれないし、見当たらない。緻密な議論・分析がなされた印象がない。

 最後におおまかな方針が登場し、これに基づいて演繹され、体裁が整えられていたとの印象を持つ。あるいは結論から逆算した感がある。そのため、世界的に見て無理のある理屈が積み上げられた。「砂上の楼閣」との論評も出ていたが、決して誇張ではない。世界の動きや、迫りくる課題に向き合わずに、現状や既存システムを前提に、淡々と試算して当面をしのいだ、ように見える。

以下、各電源について解説する。

2.実現可能性が不透明な原子力

 原子力については、最も意見や異論が多い。一言でいうと、実現可能性に対する疑問である。従来の「原発反対派」を超えて広がる「原発疑問派」が増える中、再稼働は容易ではない。廃炉が決まったものを除く発電所が、原則の40年間稼働する場合、シェアは最大で15%となる。新増設は想定していない。20~22%は、60年間への運転延長を織り込んでいる。これらの前提の確度が問われている。

続きを読む

著者記事一覧

もっと見る

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧