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山田 知明(やまだ・ともあき)

明治大学商学部准教授

山田 知明

2000年立教大学経済学部卒業。2005年一橋大学博士(経済学)。立正大学講師を経て2009年4月から現職。専門は定量的マクロ経済学、経済格差、社会保険。「Journal of Economic Dynamics and Control」、「Macroeconomic Dynamics」などに論文掲載。(写真:©都築雅人)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「気鋭の論点」

大学の奨学金制度は、成長戦略の1つにできる

2013年6月11日(火)

 当コラム「気鋭の論点」から20本を収録した日経ビジネス別冊「新しい経済の教科書2013~2014年版」が好評発売中です。ぜひお読みください。

 「アベノミクス」の3本目の矢として、様々な成長戦略が提案された。その中心は女性や若者であり、教育は医療と並んで大きな期待が寄せられている分野である。また、高校無償化や孫への教育資金贈与を非課税にするといった新たなルール作りも進行中である。

 奨学金制度のような教育政策が学業を望む学生個人にとってありがたいのは言うまでもないが、それが社会全体としてどれだけ有効な仕組みなのかについては、いまだに議論の余地があるところだ。ここでは、大学における奨学金を切り口として、教育政策と雇用問題、マクロ経済について考えて行きたい。

 学生時代に借りた奨学金の返還に困っているという事例が数多く報告されている。日本学生支援機構(JASSO、旧日本育英会)によると、平成22年度末時点で奨学金返還を1日以上延滞した人の数はおよそ34万人、6カ月以上延滞している人は18万人にのぼる。大学などが個別に実施している奨学金も含めれば、その数は更に増す。

 奨学金の返還が困難になる事例が増加した背景には、若年の雇用問題がある。せっかく奨学金を獲得して学業に専念したとしても、就職活動で失敗すれば、奨学金返還は大きな負担として圧し掛かってくる。実際、派遣労働やフリーターといった非正規雇用で低所得にあえぐ若年労働者にとって毎月の奨学金返還額は大きな負担だ。再チャレンジが容易な社会であれば、十分な所得が得られる職に就くまで奨学金の返還期限を延長すればよいだけなので、問題は深刻ではないが、現在の日本では新卒時の就職活動の失敗が様々な形でその後の賃金に大きく影響を与える。そのため、新卒採用時に躓いてしまうと、いつまでたっても奨学金返還の見込みが立たなくなってしまう。

日米の大学の学費はどんどん高くなっている

 大学を卒業して何年も経っていて最近の大学の学費について疎い読者も多いであろうから、日米の学費事情について簡単にデータを紹介しよう。

 大学の学費は、国の教育政策によって様々である。例えば東京大学の場合、入学金が約28万円、授業料は入学年度によって異なるが約53万円となっている。筆者が勤務する明治大学や大学受験で一括りにされるMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)だと、文系学部の場合、入学金なども含めて初年度で110万円から130万円程度が必要になる。早稲田、慶応義塾も学費は同程度である。

 米国の名門私立大学の学費は日本よりはるかに高額だ。米ハーバード大学のHP(Harvard at a Glance)によると、学資援助がない場合、学費だけで年額3万6305ドル(約360万円)もかかる(ただし6割以上の学生は何らかの奨学金を得ている)。また、親や家族の所得や資産に応じて負担が軽減される制度もある。州立大学の場合、州内に住む学生であれば授業料は安く抑えられるが、州外からであればやはり学費は高額になる。全般的に名門大学の学費は高額であり、大学間のばらつきも大きい。この点は、学費に関してほとんど横並びの日本の大学と対照的である。欧州の大学は事情が大きく異なり、平均的な学費は日米と比べて非常に安価である。

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和田 眞治 日本瓦斯(ニチガス)社長