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中川 美紀(なかがわ・みき)

ビジネスアナリスト

中川 美紀

長野県生まれ。東京学芸大学教育学部を卒業後、戦略系経営コンサルティング会社XEED入社。アナリストとして様々なプロジェクトに従事。近年は特に、企業の人材育成やキャリアマネジメント、及びダイバーシティ推進など人事系の分野に注力。大学生・転職希望者に対する適職実現の講演やセミナーも行う。

◇主な著書
<女性職>の時代』(角川ONEテーマ21新書) 2008
「ワーク=ライフ」の時代』(べスト新書) 2011

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「女性活用」本音と建前

女性活用、国は「ケア」を、企業は「フェア」を

2013年9月19日(木)

 少子高齢化による労働力確保や企業の競争力強化を考える上で、現在多くの企業が「女性活用」を進めることが戦略的に有効だと判断している。

 しかし、「どうやって女性の活用を進めていくのか」といった具体的な方法論の議論になった途端にことはそう単純には進まない。企業の中でも、女性/男性、経営者/雇用者といったそれぞれの立場において様々な意見や思惑が存在する。総論は賛成、しかし各論においては文字通り百家争鳴、皮肉なほどに“ダイバーシティ”の状態である。これが現在の企業の「女性活用」における実態なのである。

 一方で、成長戦略の「第三の矢」として「女性活用」を掲げる政府は、2020年までにあらゆる分野で女性が指導的地位に占める割合を30%程度にするとして、企業に具体的なアクションを要求している。「女性の管理職30%」「育児休暇3年導入」「全上場企業は役員に1人は女性を登用」等、具体的な数値を提示し、さらにそれが実現できているのかどうか、上場企業を中心に女性登用状況に関する公開を求めてチェックしていく方針を示しているのだ。

 日頃様々な分野の企業に関わる私は、こうした国が一律で決める「女性活用」は、むしろその弊害の方が大きいと見ている。

国が介入し過ぎると上手くいかない

 なぜなら、企業には企業の現実と事情があるからだ。企業は各々、事業の特性も組織の構成も、文化や風土も全く異なる。それに応じて必要な人材像も人数も違う。

 にもかかわらず、国が企業に一律に「女性活用」を義務づけるとなると、これは「女性活用」の本質である「ダイバーシティ(多様性)」を認めないことに繋がる。

 そもそも「ダイバーシティ」とは、生物の多様性からきた概念である。地球上の生物が生存していくためには、動物や植物といったあらゆる生物種の多様性を確保すること自体が不可欠である。なぜなら、気候変動といった大きな環境変化に対応するためには、種のバリエーションが豊富であってこそ絶滅を免れるし、強靭で柔軟な生態系を形成することができるからだ。つまり、バクテリアやコオロギ、シロナガスクジラといった141万種もの生物種が存在して初めて人間も生きていられるし、現在の生態系が維持できているということだ。逆に多様性が確保できなくなると、生態系自体が壊れてしまい、ひいては地球上生物の絶滅に繋がってしまうのである。

 このことを企業社会に置き換えて考えてみると、多様な個々の企業が存在するからこそ、実は生態系としての社会が全体として調和が取れている、ということになる。「女性活用」で言えば、企業の数だけ「女性活用」の形があり、企業が属す社会全体として調和が取れていればそれで良いのだ。

 例えばそれは、女性を多く必要とする企業は30%どころか女性管理職を100%にしても良いし、逆にそれほど「女性活用」の必要性がない企業であれば、女性管理職が0%であっても良いということだ。男女雇用機会均等法が施行されたからといって、公的機関も民間企業も全ての分野で男性と女性の比率が50:50にすべきかと言われたら、そんなおかしな話はないだろう。

 登用のバランスは個々の企業が決めれば良いことであって国が口を出す話ではない。個々の企業経営はもちろん、社会全体の生態系として考えれば、むしろ「女性活用」に関する取り組みも多様であってこそ健全なのである。

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