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名和 高司(なわ・たかし)

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授

名和 高司

1957年生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱商事に入社。90年米ハーバードビジネススクールでMBA(経営学修士)を収得、日本人として2人目のベーカー・スカラーを授与される。91年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。日本、米国、アジアなどを舞台に企業の成長戦略や異業種アライアンス、経営変革に取り組む。2010年から現職。

◇主な著書
日本企業をグローバル勝者にする経営戦略の授業』(PHP研究所) 2012
学習優位の経営』(ダイヤモンド社) 2010
マッキンゼー戦略の進化』(ダイヤモンド社) 2003

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

MBA看板教授が読むビジネス潮流

日本が目指すべきは「知的遊牧民(ノマド)」型のモノ作りです!

2013年6月25日(火)

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちが読み解き、新たなビジネス潮流を導き出していく。

 今月のテーマは、安倍晋三政権が推進する経済政策「アベノミクス」によって急激に進んだ円安。企業の輸出が回復し、業績の回復や雇用の拡大につながるといった理由から、円安を歓迎する声も多いが、果たして本当にそうなのか。円安が国内企業にもたらす真の影響について、国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客たちに持論を披露してもらう。

 今回は前回に引き続いて一橋大学大学院国際企業戦略研究科の名和高司教授が、生産の海外シフトを進める際のモノ作りのあり方を解説する。

(構成は小林 佳代=ライター/エディター)

 前回に、円安になって一部の製造業は一息つくことができたけれども、基本的には地産地消を進めるべきで、海外シフトの手を緩めてはならないと指摘しました。では、その場合、国内のモノ作りはどのような姿になるべきでしょうか。

 日本は「クラフトマンシップ」で誰にもマネできないような高い技術のモノを作るのが得意です。ただ、その高い技術のモノを作る段階で止まってしまうと、単なる“民芸品”で終わってしまいます。民芸品をいくら日本の中で持ち続けても、大きなビジネスにはなりません。海外に持って行く前提で民芸品を“工業品”化することを常に考え続けていくことが必要です。

 私は、日本の製造業は「知的遊牧民(ノマド)」型のモノ作りを目指すべきだと考えています。日本では最先端の技術のモノを作り、それを民芸品から工業品のレベルに引き上げたうえで世界に広げ、コモディティー(汎用品)化していくというものです。日本では次の最先端の技術のモノを作ります。このサイクルを続けていくのです。

 これを既に実行しているのがダイキン工業です。同社のエアコンはインバーター技術で優位性がありますが、2008年に中国のエアコン最大手・格力電器と業務提携し、この技術を供与してインバーター技術の標準化を狙いました。

 当初、社内には「敵に塩を送るようなもの」と大反対が出ていたそうです。けれどダイキンの井上礼之会長は「インバーターは進化する。今の技術は出して新しい技術を開発すればいい」と一蹴しました。インバーター技術を民芸品として守るのではなく、工業品として規模拡大する道を選んだのです。

 格力電器がローエンドからミドルにかけてのエアコン市場を押さえたことで、インバーター搭載エアコンは世界のデファクトスタンダード(事実上の標準)となり、ダイキンのエアコンビジネスは世界中に拡大しました。

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