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橋本 久義(はしもと・ひさよし)

政策研究大学院大学/客員教授・名誉教授

橋本 久義

政策研究大学院大学客員教授・名誉教授。東京大学工学部精密機械工学科卒業後、通産省入省。西ドイツデュッセルドルフにJETRO調査員として3年間駐在。1994年から埼玉大学教授。1997年政策研究大学院大学教授、2011年政策研究大学院大学名誉教授。通産省時代から「現場に近いところで行政を・学問を!」をモットーに第一次円高以来26年間で3480以上の工場を訪問。行政・学界には珍しい現場主義者。政策研究院では、発展途上国の産業発展、中小企業の活性化をメインテーマに研究に取り組んでいる。

◇主な著書
中小企業が滅びれば日本経済も滅びる』(PHP研究所) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

 産経新聞社の論壇誌、『正論』2012年7月号の「私の写真館」で取り上げられました。

 そこには、私の生い立ちと、通産省時代から大学時代を通して日本のたくさんの工場を訪れて思った、私のみんなに言いたいことが載っています。

 日本の製造業には、①良い物を作って世界の発展に貢献しているが、決して不当に儲けようとはしない②代金の多寡を忘れて顧客のために頑張る③自分は食うや食わずの暮らしをしながら、機械と工具には身分不相応なほどの金をかけ、 手入れを怠らない④寝ても覚めても顧客のために、新しいやり方安いやり方、 便利なやり方を考えている、という経営者と従業員がいる。「神様のような暮らしと善行じゃないか!」。

橋本久義の「日本ものづくり・復活シナリオ」

中小企業は日本の「まごころ」であり「宝」

2013年7月8日(月)

 ここに自動車に使うノズルがある。燃料噴出ポンプの先に付けるものだ。これは、一枚の板から成型していく「深絞り」という技法を用いて作る。

 単に筒状のものは比較的作りやすいが、筒の途中に、ほかよりも少し太い部分を設けようとすると、途端に難易度が上がる。これができる企業は、国内でも限られている。海外にはないと言っていい。

 私は日頃から、「日本の中小企業は世界最強」であり「中小企業は日本のまごころ、世界の宝」であると主張している。上記のエピソードはその主張を裏付ける1つである。

クルマの燃料噴出ポンプの先に付けるノズルを愛おしそうに眺めながら説明する政策研究大学院大学客員教授の橋本久義氏

レベルの違う努力をする日本の中小企業

 ではなぜ、日本の中小企業は世界最強なのか。日本人だけが手先が器用でアイデアが豊富なのかというと、そうとは言いきれない。それよりも、日本のものづくり企業はみな、努力をしている。他国もしているが、レベルが違うのだ。

 パナソニックの創業者である松下幸之助氏は、「5%値段を下げろと言われたら難しいかしらん。しかし、値段を半分やと言われたら、できるかもしらへんで」と言ったというエピソードがある。

 ある自動車部品企業が、トランスミッション用の歯車を納入していた先から、価格を半分にしてほしいという要請を受けた。その歯車は真ちゅう製。歯車と歯車が突然かみ合ったときに衝撃を和らげる目的で真ちゅうが使われていた。

 真ちゅうを使っているから高額でもあったが、それを納入先は値段を半分にしろという。しかし、真ちゅうの材料代があるから、半額なんてできるはずがない。

 そこで、艱難辛苦(かんなんしんく)。苦労に苦労を重ねて、鉄で歯車を作り、その歯面に厚めに真ちゅうをメッキした。これによってコストは、半分までとはいかなかったが、45%減らすことができたという。

 結局、新開発の歯車は、その納入先へは以前の価格の半分で納めざるを得ず、儲けにはつながらなかったが、他の会社へは、高く納められる。すると、真ちゅう製で収めていたときより、利益は大きくなる。かくして、会社は成長する。

 どの日本企業も、これと同じような努力をしている。

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