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松尾 博文(まつお・ひろふみ)

神戸大学大学院経営学研究科教授

松尾 博文

1979年京都大学大学院工学研究科修士課程修了(数理工学専攻)。84年米マサチュ-セッツ工科大学大学院経営学研究科博士課程修了(オペレーションズリサーチ専攻)。米ペンシルべニア大学経営大学院客員準教授、米テキサス大学オースティン校経営大学院教授、筑波大学社会工学系教授などを経て、2004年から現職。専攻はオペレーション管理とサプライチェーンマネジメント

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

MBA看板教授が読むビジネス潮流

結局のところ円安による恩恵はほとんどありません

2013年6月28日(金)

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちが読み解き、新たなビジネス潮流を導き出していく。

 今月のテーマは、安倍晋三政権が推進する経済政策「アベノミクス」によって急激に進んだ円安。企業の輸出が回復し、業績の回復や雇用の拡大につながるといった理由から、円安を歓迎する声も多いが、果たして本当にそうなのか。円安が国内企業にもたらす真の影響について、国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客たちに持論を披露してもらう。

 今回は、製造業のサプライチェーン・マネジメント研究の第一人者である神戸大学大学院経営学研究科の松尾博文教授に、自身の研究を踏まえた見解を聞いた。

(構成は峯村創一=フリーライター)

 昨年11月初旬に1ドル=80円前後だった為替レートは、103円台に達し、その後93円台まで戻したものの、切り返して円安傾向が続いています。日経平均株価も5月の高値である1万5942円から大幅に下落したとはいえ、昨年11月の安値と比べると、5割近くも高い水準を保っており、景気回復に対する市場の期待の高さを示しています。

 では、実際のところ、今回の円安は日本経済にどれほどの影響を与えているのでしょうか。輸出企業、輸入企業、そして国内取引が主体の企業に分けて、ざっと計算をして考えてみましょう。

突然、濡れ手に粟の利益を得た輸出企業

 まず輸出企業は、直ちに大きな利益を得ることができました。例えば、海外での販売価格は変わらなくても、円に換算した売り上げは為替レートが1ドル=80円から同100円になったことに伴って、80円だった時に比べて25%増加しました。

 一方で、国内での生産コストは為替変動によって変わらないとします。1ドル=80円の時に売上高営業利益率が5%だった場合、コストは95%に相当する金額のままですが、売り上げは25%増加して80円だった時の125%になりますから、単純に計算すると、(125-95)÷125×100=24(%)で、売上高営業利益率は突然5%から24%に膨らむことになる。これはもう、濡れ手に粟も同然と言っても過言ではありません。

 一方、輸入企業はどうか。海外からの材料費が25%高くなり、厳しい状況に追い込まれています。通常、材料費は売り上げの66%程度を占めていますから、それが25%高くなるということは、価格がそのままであれば、売り上げに対する材料費の割合は82.5%まで膨らみ、16.5ポイントも負担が増す。

 売上高営業利益率が5%だった場合、コストは材料費の負担増がそのまま反映されて、売り上げの95%から111.5%にまで上昇する。5%の黒字から11.5%の赤字に転落してしまうわけです。こうなると、コストの削減にも限界があるので、利益を出すために値上げをせざるを得ないでしょう。

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