• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

大上 慎吾(おおうえ・しんご)

一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授

大上 慎吾

1987年一橋大学卒業。95年米カーネギー・メロン大学大学院博士課程修了。同大学大学院にてPh.D.(統計学)取得。一橋大学商学部専任講師、助教授を経て、2000年に同大学大学院国際企業戦略研究科助教授。2007年4月から現職。専門はマーケティングサイエンスで、ブランド・パーソナリティーや「クチコミ」データを利用した消費者行動分析などのテーマを研究している。

◇主な著書
技術価値評価』(日本経済新聞社) 2004

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

MBA看板教授が読むビジネス潮流

ビッグデータを本気で生かすには組織変革が欠かせません

2013年7月9日(火)

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちに読み解いていただき、新たなビジネス潮流を導き出してもらう。

 今月のテーマは、メディアなどで盛んに報じられるようになった「ビッグデータ」──。一般的な言葉として定着しつつあるビッグデータとはどのようなものなのか。企業のビジネスを大きく変える可能性があるとされるが、実際にはどのような効用があるのか。その本質について、国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客にリレー形式で登場し、持論を披露する。

 今回は前回に続いて、一橋大学大学院国際企業戦略研究科の大上慎吾准教授に、企業がビッグデータの活用に取り組む際の課題やポイントなどを解説してもらう。

(構成は小林 佳代=ライター/エディター)

 前回に「4V(Volume、Variety、Velocity、Veracity)」という特徴を備えたビッグデータが、いかに企業のビジネスに新たな可能性をもたらすかについて解説しました。とはいえ、ビッグデータの活用は簡単ではありません。現段階でボトルネックとなるのが人材です。

 ビッグデータと並んで、「データサイエンティスト」「データアナリスト」といった言葉も注目されるようになっています。ビッグデータから意味ある情報を引き出して解析し、さらにはそれに基づいて戦略シナリオを作成する専門家のことです。

 アマゾンやグーグルなど米国の最先端のネット企業は、統計学で博士号を取得した専門家を大量に採用し、ビッグデータ活用を進めようとしています。日本ではこの分野の人材が決定的に不足しており、知識、ノウハウを持つ人材を育成することが急務になっています。

 日本で統計学の専攻学科を持っている教育機関は総合研究大学院大学だけですが、医学、経済学、心理学などの応用分野で専門人材を育成してきました。これは実際の問題に基づいた教育が行われるというメリットと、当該分野の課題に特化しがちであるというデメリットがあります。また、米国ではシリコンバレーをベースとする企業が中心となって、博士号を持つ学生を半年間でデータアナリストに養成するプログラムが提供されています。一部の企業の間では、システム部門でプログラミングに関わってきた人材などをこれらの教育機関に送り込み、統計学を学ばせる動きも出てきています。

 一方で、1人の「完璧なデータサイエンティスト」出現を期待するのは無理があることを認識すべきだとも思います。ビッグデータをビジネスに活用するには、「分析スキル」「プログラミングスキル」「コンサルティング能力」「ビジネスドメインの専門知識」の4つを備えていることが必要です。これらのスキル、能力、知識を備えている人を探し出したり、養成したりすることは容易ではありません。

 理想的なのは、ビッグデータを活用するためのチームを部門横断型で作り、足りない部分をお互いに補い合うことです。「CAO(Chief Analytics Officer=チーフ・アナリティクス・オフィサー)」がいればさらに望ましいでしょう。今のところ、CAOという肩書きの役職を置いている日本企業はわずかですが、今後は必ず増えてくると思います。

 チーム作りでうまく機能している先行例となるのが大阪ガスの「ビジネスアナリシスセンター」です。このセンターは10人ほどのチーム。社内の全組織、関連会社の課題・問題を発掘し、ソリューションを提供しています。その提供数は大小合わせて年間100にも及ぶそうです。

 例えば過去には、事故時の出動実績の社内データと社外の交通情報データを統合して分析し、緊急車両の配置を最適化するソリューションに取り組み、より低コスト、より短い到着時間で適切な事故対応ができるようになったと言います。

 このセンターがユニークなのは独立採算制を採用していること。分析にかかったコストや人件費は対象となる組織に請求します。ただ単にデータを分析する“便利屋さん”ではなく、コンサルテーション能力を備えているからこそできることです。

続きを読む

著者記事一覧

もっと見る

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長