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中村 勇介(なかむら・ゆうすけ)

日経デジタルマーケティング 編集/ライター

ウェブ関連雑誌の編集者、日経ネットマーケティングの記者を経て、2011年2月から日経デジタルマーケティング編集部に在籍。「『LINE』活用の損得勘定」といった時流を捉えた必見記事から、「ネスレ日本、直販2割に挑む」という特集まで手掛ける範囲は幅広い。野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」を励みに、取材と執筆を重ねる日々。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

デジタル×データ×デザインの未来

資生堂、ブランディングとECマーケティング統合

2016年7月20日(水)

 これからの経営イノベーションにはデジタル、データ、デザインの3つの「D」が欠かせない。2016年7月に新イベント「D3 WEEK 2016」を開催する専門誌3誌が、最新の企業事例やキーパーソンのインタビュー記事などで、その可能性を探ります。

 連載第11回は、7月29日の「Digital Marketing DAY」に登壇する資生堂が進めているEC(電子商取引)とブランディングとの統合に迫ります。資生堂は、自社データから第三者の持つデータまで、デジタルマーケティングに関わるすべてのデータを統合的に蓄積する体制を整備しました。「Digital Marketing DAY」の詳細はこちら

 資生堂がマーケティングデータのワンソース化を進めている。デジタルマーケティングのデータを一元的に格納するため、トレジャーデータ(東京都千代田区)のクラウド型プライベートDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を4月に導入した。この新たなDMPに、資生堂社内のデータにとどまらず、第三者の持つオーディエンスデータ(サイト閲覧者の趣味や好みなど、個人を特定しない消費者データ)など、デジタルマーケティングに関わるすべてのデータを統合的に蓄積する。

 資生堂がデータの活用で目指すのは、顧客一人ひとりに最適なコミュニケーションをするワン・トゥ・ワンマーケティングだ。その実現のために、昨年からマーケティングオートメーション(MA)ツールやDMPなどを相次いで導入してきた。

LINEでシナリオ型マーケティング

 例えば、MAツールの活用では、プラットフォームをまたいだシナリオ型の配信に取り組んだ。メールの開封の有無といった分岐条件ごとに、次に実施する施策を設定しておくことで、自動的に実行される。通常、自社で発行するメールを中心に実施するケースが多いが、資生堂は無料通話・メールアプリ「LINE」上に開設している、自社サイト「ワタシプラス」のLINE公式アカウントも含めて、シナリオ型の配信を実現している。

 ワタシプラスのLINE公式アカウントには、2000万人超の「友だち」が登録しており、情報を届けられる規模は非常に大きい。ただ、従来は登録者の情報に合わせたメールの出し分けはできず、全員に同じ内容を一斉配信していた。「開封率やクリック率はメールに比べると非常に高い。より有効なコミュニケーションをできないか検討していた」と資生堂ジャパンのダイレクトマーケティング部Web推進室長の徳丸健太郎氏は言う。LINEでもワン・トゥ・ワンマーケティングを実現する。導入したのが「LINEビジネスコネクト」だ。

LINEの企業向け販促支援サービス「LINEビジネスコネクト」を使いメールを配信し分ける

 LINEビジネスコネクトは、企業の持つシステムとLINE公式アカウントを接続するもの。資生堂はこのLINEビジネスコネクトを活用して、顧客データベースとLINE公式アカウントを接続。これによりLINE公式アカウントに登録した友だちに対し、資生堂の持つ顧客データを用いてターゲットを設定して、メールを出し分けられるようにした。

 とはいえ、単にシステムをつないだだけでは、顧客ごとのメール配信はできない。まずLINEの公式アカウントとワタシプラスのIDを顧客自身に接続(ひも付け)してもらう必要がある。そこで、昨年のLINEビジネスコネクト導入後は、まずIDを接続する会員の増加策に注力。IDを接続した会員に抽選でグッズなどが当たるプレゼントキャンペーンなどを実施して接続を促した。現在は約15万人がLINEのアカウントとワタシプラスのIDを接続しているという。

 今年に入ってID接続が一定数に達した段階で、ID接続している会員には、その時々に応じて、メールを配信するプラットフォームを変えるといった施策に取り組み始めた。例えば、期限付きクーポンの利用期限を知らせるメールもその1つ。期限当日のアラートを、ID接続している会員にはLINEで配信し、それ以外の会員にはメールで知らせている。

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