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魚谷 雅彦(うおたに・まさひこ)

ブランドヴィジョン社長/日本コカ・コーラ前会長

魚谷 雅彦

1954年、奈良県生まれ。同志社大学卒業後、ライオン入社。 83年、コロンビア大学でMBAを取得。 89年にヨーロッパの食品メーカーに転じるが後に買収により、クラフト・ジャパンに転籍。 94年、日本コカ・コーラに入社、取締役上級副社長就任。 「ジョージア男のやすらぎキャンペーン」をはじめ、日本発のマーケティング発想で「爽健美茶」「紅茶花伝」などヒット商品を多数手がける。 2001年、日本人としては26年ぶりとなる代表取締役社長に就任。06年より11年まで取締役会長。 07年、“マーケティングは経営そのもの”という信念のもと、”Hands-on”のスタイルで企業のブランド力やマーケティング力を強化し企業価値を高める活動のプラットフォームとして、株式会社ブランドヴィジョンを設立。 次世代の人材育成を目的としたキャリア啓蒙活動にも力を入れている。07年7月より10年6月までNTTドコモ特別顧問を兼務し、ドコモブランドの強化をサポート。

◇主な著書
外資系トップの仕事力―経営プロフェッショナルはいかに自分を磨いたか』(ダイヤモンド社) 2006(共著)
こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる』(ダイヤモンド社) 2009
会社は変われる!ドコモ1000日の挑戦』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) 2011

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

魚谷雅彦の 目指せ!マーケティングの国ニッポン

今こそ新島襄の精神に学ぶ時

2014年1月10日(金)

 昨年12月24日に記者会見があり、本年4月1日付で資生堂の社長に就任することが発表になりました。

 実は、最初に社長就任の打診をいただいたのは昨年11月に入ってからのことだったのですが、まずはびっくりしたと同時に、あの伝統ある企業が社長を社外から登用するはずがないと思っていたので、「まさか!」というのが正直な気持ちでした。しかし、「それだけの強い危機感と変革への意識をもって、マーケティングを強化してこの会社を建て直すことが必要だ、ぜひやって欲しい。資生堂を活性化し、グローバル競争力を高めることは、まさに日本を元気にすることだ、あなたが立ち上げたブランドヴィジョンの目標と同じだ」という前田社長はじめ役員指名諮問委員会特別部会の方たちから頂いた言葉とその真摯な思いには心から感銘を受けました。最終的に決意したのは12月中旬のことですが、それには「マーケティングで日本企業を元気にする」という僕のビジョンに共感し集まって一緒に取り組んできてくれた今の会社の社員の人たちの大きな理解と応援がありました。

 これまでの11回の連載で、なぜ「マーケティングとは経営そのもの」なのか、「経営の中枢にマーケティングを置くことで企業を変革する」ということを語ってきました。コカ・コーラ、NTTドコモに続いて新たに資生堂という機会を与えられたことは、日本社会においてマーケティングの重要性が理解されてきていることの表れだと嬉しく思っています。

 資生堂の社員の皆さんと一緒に汗を流し、多くの方の期待に応えるべく全力で頑張る覚悟です。皆さんも応援よろしくお願いします。

 さて話はかわりますが、先日最終回を迎えたNHK大河ドラマ『八重の桜』。主人公たちが設立した同志社大学出身の僕としては、毎回とても興味深く見ていました。

 主人公・新島八重の夫、新島襄は幕末の1864年に函館からアメリカへ密航し、日本人として初めて学位を取得した後、宣教師として帰国。1875年に同志社を設立し、キリスト教精神に基づき青年子女の育成に奔走する中、46歳という若さで病に倒れてしまいました。

 体1つでアメリカに渡って学問を身につける。今の時代だって大変なことなのに、150年近く前にそれを成し遂げる好奇心と勇気には感服するばかりです。密航が失敗に終わった場合、自らの処刑はもちろん、家族・親族にも危害が及ぶことが容易に想像されるわけですから。

 渡米した新島襄は、アメリカで人の良心に触れ、多くの人たちに支えられて教育を受けることができました。だから今度は、若者の教育を必要としている祖国にその良心を伝えたい。キリスト教の学校を設立したいのだと、帰国に際してスピーチしたそうです。その志は米国の聴衆の感動を呼び、皆がこぞって新島に寄付したと伝えられています。なかには自分の汽車賃を手渡してしまった老人までいたそうです。自分は歩いて帰ると言って。

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