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権田 直(ごんだ・ただし)

内閣府政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(総括担当)付参事官補佐

権田 直

2004年一橋大学経済学研究科修了、内閣府入府。政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(総括担当)付、公共サービス改革担当室、企業再生支援機構担当室、計量分析室などを経て、2012年より現職。現在は、月例経済報告及び経済財政白書などを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

若手官庁エコノミストが読む経済指標

円安は4-6月期の企業収益の押し上げにも寄与

2013年7月23日(火)

 2012年11月末以降、ドル円レートは約20円程度減価し、急激な円高修正の動きがみられる。しかしながら、我が国の2012年1-3月期の貿易収支は、約3.1兆円の赤字となっており、赤字幅が拡大している。2011年の東日本大震災以降、原油やLNGといった鉱物性燃料の輸入が増加したこと、海外経済の減速などを背景として輸出が低迷したことなどが背景にあると言われている(図1)。

 一般に、円安になれば、輸出品の価格を引き下げやすくなるため、海外での販売競争力が高まり、日本の輸出産業に有利になる。また、海外からの輸入品の価格は上昇するため、国内では国内産業に有利になり、輸入は減少する。このため、輸出が増え、輸入が減ることから、貿易収支を改善させると考えられるが、逆の現象が起きているのはなぜだろうか。

 これは「Jカーブ効果」という現象で説明できる。以下では、為替レートの変化が貿易収支に対して与えるメカニズムとして「Jカーブ効果」を紹介するとともに、企業収益にどのような影響を及ぼすか考える。

図1 我が国の貿易収支の推移

円安は貿易収支の赤字幅を一時的に拡大させる

 「Jカーブ効果」とは、どのような現象のことを指すのだろうか。

 まず、円安になれば、外貨建ての輸出価格は不変でも、円換算した輸出額は増加するため、当初、輸出金額は増える。また、輸入品の円建て価格が上昇するため、一時的に輸入金額は増加する。我が国の輸出の外貨建て契約比率は約6割であるのに対し、輸入は約8割である。このため、輸出価格よりも輸入価格の上昇幅が大きくなる。

 一方、円安になると、円建て取引額を維持しつつ、外貨建て契約価格をある程度切り下げて価格競争力を上げ、現地での販売数量の増加につなげることができる(輸出数量の増加)。また、円安により輸入品の価格が上昇すると、競合する国内産品の価格競争力が増すため、徐々に輸入品は国内品に代替されるようになる(輸入数量の減少)(図2)。

 当初は数量が変化せず、価格の変化が起きるので、これによる輸入金額の増加が輸出金額の増加を上回り、むしろ円安は貿易赤字を拡大させる。このように、為替レートが変動した時に、短期的に予想される方向とは逆の現象が起こることを「Jカーブ効果」と呼ぶ。時間の経過に伴う貿易収支の推移をグラフに表すと、いったん下がってから上がり、グラフ上に描かれる曲線がJの字を描くことから「Jカーブ」呼ばれる(図3)。

図2 円安が輸出入に影響を与えるメカニズム(概念図)
図3 Jカーブ効果(概念図)

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