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善本 哲夫(よしもと・てつお)

立命館大学経営学部准教授/立命館大学デザイン科学研究センター センター長

善本 哲夫

2004年同志社大学大学院商学研究科博士後期課程退学。東京大学ものづくり経営研究センター 特任助手、同志社大学商学部講師を経て2007年から立命館大学経営学部准教授。研究分野は企業システム論、技術管理論。

◇主な著書
The Dynamics of Regional Innovation: Policy Challenges in Europe and Japan (Innovation and Knowledge Management)』(World Scientific Pub Co Inc) 2011
ものづくりの国際経営戦略-アジアの産業地理学』(有斐閣) 2009

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

気鋭の経営学者が斬る経営の論点

日本のメーカーに再び「fun」の概念を

2013年7月24日(水)

 日本の経営論壇をこれからリードしていく経営学者のホープたち。彼らに、日本企業が直面する経営の課題について論じてもらう。

 今回は、世界を席巻したかつての勢いを失い、閉塞感の漂う日本のモノ作りの行方について、3人の若手経営学者に持論を聞く。

 2人目は、立命館大学経営学部の善本哲夫准教授。アジアの製造業の現場を見て歩いた経験から、日本の製造業に必要な「新しい言葉の共有」や、取り戻すべき「fun」の概念などについて提言する。

(構成は峯村創一=フリーライター)

米誌「ワイヤード」の元編集長、クリス・アンダーソンが、著書『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』で示した個人によるモノ作りや、3Dプリンターの登場など、製造業の未来を予感させる新しい芽が生まれています。こうした環境の変化は、日本の製造業にとって復活への足掛かりとなるのでしょうか。

善本:確かに『MAKERS』で語られているような、個人発の製造業ベンチャーが大きく成長していくシナリオはあり得るでしょうが、製造業全体の構図を変えるほどのインパクトはないだろうと見ています。

 3Dプリンターにしても、以前から存在していたわけですし、それが小型化し、安価に手軽に使えるようになったというだけで、全く新しいものが誕生したわけではありません。

 ただ、3Dプリンターは、企業内での新しいコミュニケーションのツールになり得るのではないかと期待しています。アイデアを手軽にビジュアル化することで、設計・生産・営業など連携がなかなか取れていなかった部門の社員が一堂に会し、議論を重ねながら新しいコンセプトを生み出していけるようになるといい。

 なぜなら、「新しい言葉の共有」ができていないところに、日本の製造業が、現在の踊り場的な状況からなかなか抜け出せない原因があると考えるからです。

「新しい言葉の共有」と言いますと?

善本:生産部門、要素技術部隊、デザイナー、営業……。機能別に分かれた組織が、反目し合うこともしばしばあります。デザイナーは生産から「そんな形じゃ、加工できないよ」と言われ、営業からは「売れるデザイン(外観)を」と一方的に要求される。営業と生産の間でも、同様の軋轢があります。

 それぞれの立場からは理にかなったことを言っているのですが、部署ごとの部分最適にとどまっていて、一緒になって全体最適を考える土壌を改めて作る必要がある。

 例えば、3Dプリンターで作った外観・スタイルのプロトタイプ(試作品)を触媒にして、社員同士が自分の専門分野や所属部門の垣根を越えて、それぞれの価値観や解釈をぶつけ合う、といった動きが出てくれば、そこから新しい展開が期待できるのではないでしょうか。

 これはスタイルや外観を議論するということではありません。多様な部門の人が横断的に議論し、事実の共有、行動の共有、解釈の共有を通じて、商品に込める、商品を表現する新しい言葉を共有する。ゼロからの造語だけではなく、昔からあった言葉にみんなで新たな意味合いを持たせることも、「新しい言葉」の共有だと言えます。

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