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麓 幸子(ふもと・さちこ)

日経BPヒット総合研究所長・執行役員

麓 幸子

1962年秋田県生まれ。1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。2011年12月まで5年間日経ウーマン編集長。2012年よりビズライフ局長に就任、日経ウーマンや日経ヘルスなどの媒体の発行人となる。2014年より現職。同年、法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。経団連21世紀政策研究所研究委員。筑波大学非常勤講師。経産省「ダイバーシティ経営企業100選」サポーター。

◇主な著書
就活生の親が今、知っておくべきこと』(日本経済新聞出版社) 2011
なぜ、女性が活躍する組織は強いのか?』(編著、日経BP社) 2014
企業力を高める―女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版) 2014

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

女性の活躍する組織の新常識

日立製作所の働き方改革はトップダウンで

2017年11月1日(水)

日経WOMANと日経ウーマノミクス・プロジェクトによる「女性が活躍する会社ベスト100」で総合10位にランクインした日立製作所。2013年に女性のキャリア促進に向けた数値目標を発表し、進捗度合いを見える化しながら着実に取り組みを進めている。人財統括本部人事勤労本部長兼ダイバーシティ推進センタ長の三輪高嶺氏に、ダイバーシティ推進の現状と、昨年末から本格的に始動した働き方改革「日立ワーク・ライフ・イノベーション」について聞いた。

(インタビュアー/麓幸子=日経BP総研マーケティング戦略研究所長、取材・文/谷口絵美、撮影/鈴木愛子)

今回の調査で日立製作所は総合ランキング10位に入り、採点カテゴリでは「女性活躍推進度」が1位、「ダイバーシティ浸透度」が2位と高スコアを獲得しました。改めて、日立製作所におけるダイバーシティの重要性や女性の力について教えてください。

三輪高嶺氏(以下、三輪):日立グループでは数年前から社会イノベーション事業を中心に、グローバル企業になるべくさまざまな取り組みを進めています。

 日本の伝統的なメーカーには、かつては「よいものを作って並べてさえおけば、評判を聞きつけてお客様が集まり、売れていく」という時代がありました。でも今は、モノやサービスを単品で売っていてもどんどんシュリンクしていくばかりです。

 社会イノベーション事業というのはなじみがない方もいるかもしれないのですが、ひと言で言うと、日本を含む世界の国々が直面する様々な社会的な課題に対して、どういうアプローチで解決していくかということです。現地も含めたさまざまなステークホルダーと一緒に考え、解決につながる製品やサービス、システムを提供していくことを考えています。そのためには日立という組織の中に、さまざまな発想ができる人がグローバルレベルで存在していなくてはいけません。

 ダイバーシティはもちろん女性だけにスポットを当てるべき問題ではありませんが、まずいちばん身近にたくさんいるのは女性です。その上で、外国人や高齢者、障がいを持った方など、多様な思考や価値観を持った人に適所適材で活躍していただくことが必要だと思っています。

1989年日立製作所入社。2011年 HITACHI INDIA PVT.LTD出向。15年人財統括本部人事勤労本部エンプロイーリレーション部長。17年人財統括本部人事勤労本部長兼 ダイバーシティ推進センタ長。

日立製作所は、2013年に「2015年までに女性役員の登用」と「2020年までに国内の女性管理職を1000人」という数値目標を広く公表しました。その進捗はいかがでしょうか。

三輪:女性役員については、2015年に荒木由季子が理事に就任したのに続き、今年4月にはさらにもう一名理事が誕生しました。

 女性管理職については厳しく、直近は530人ほどです。これは会社の形の変化も影響しています。事業構造の変化に伴い国内の従業員の構成も変化していることもありますが、期限まで3年半ありますので、引き続き目標達成に向けて取り組みを継続していきます。

女性従業員の意識改革や昇進意欲についてはどのような取り組みをされていますか。

三輪:若手への意識づけを行うキャリアセミナーのほか、出産後のキャリアの継続や活躍を支援するセミナーを、産休前と復職時に上長も含めて行っています。もちろん女性リーダー層向けの研修会もいろいろやっています。

 女性の管理職登用が進まない課題に対しては、まずは組織全体で考えるべき問題だと思っています。そこで、経営幹部の研修や、女性の部下を持つ管理職に女性のキャリアについて考えてもらうマネジメントセミナーも行っています。

 最近の新たな動きとしては、働き方改革が一番大きいと思います。2016年12月から社長のリーダーシップの下で本格的に始まりました。さまざまな面から働きやすさを提供できれば、多様な属性や価値観、制約のある人がきちんと価値を発揮できるようになります。我々の事業を成長させるうえで、働き方改革とダイバーシティ推進は車の両輪です。

産休前復職支援セミナーは上長も参加する
女性リーダーミーティングでは東原敏昭社長も登壇してエールを送った

経営幹部や本部長が働き方改革の行動目標を宣言

「働き方改革」はまさに国家レベルで推進している一大テーマです。しかし、残業時間をどう削減するのかということに話題が集中しているきらいがあります。それも重要な点ですが、働き方改革を企業の成長に結びつけるにはそれだけでよいのかという議論もありますが、日立ではどのように進めているのでしょうか。

三輪:確かに、世の中的には働き方改革というと、まずは長時間労働の是正というモードになっています。もちろんそれも大事ですし、我々も目標をいくつか決めてかなり削減できつつあります。その上で、生産性や付加価値を向上させることと、従業員のエンゲージメントを向上させるところまで踏み込める施策をやっていきたいと考え、「日立ワーク・ライフ・イノベーション」と名付け全社運動として展開しています。働き方改革を、新しい価値や概念を生み出していけるような運動につなげていこうという思いを込めています。

 具体的にはまず意識改革です。社長が精力的にトップメッセージを発信し、社内やグループ内の会議でも折に触れて「働き方改革」と継続的に言ってくれています。ただ、社長が1人で号令してもその下の役員がついてこなくては実現しません。そこで、約40人の経営幹部を全員集めて研修会を開きました。その後、一人ひとりに「自分はいついつまでに〇〇を実現します」といった行動目標を宣言してもらった。これを「アクション宣言」として、現在イントラネットで全社に公開しています。

ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵氏が役員研修で講演

それはかなりのプレッシャーになりそうですね。

三輪:確かにそうですが、部下にやれというからには上司にも覚悟が必要です。これは働き方改革に限らないことで、経営幹部の姿勢は従業員のモチベーションや行動に直結します。ちなみに本社地区でも本部長約30人が研修を受講し、同じように目標を立てて、イントラネットで公開しております。

 当然かけ声だけではだめなので、並行して業務の簡素化、効率化も本社の管理部門でプロジェクトチームを作って行っています。予算制度や大規模な会議の招集、内部監査などに無駄や重複がないかをチェックしているところで、成果の一つとしては、業績管理に関する種々の業務のうち、業績状況にかかわらず全社一律で実施していた管理業務を見直し、必要な部門のみに対象部門を絞ることにしました。

 これは業績管理業務はある意味で聖域化されており、見直しの対象とならない業務の一つであると社内では認識されていましたが、今回の働き方改革では見直しの対象としたことで、会社が変わろうとしていることを示す象徴的な出来事として受け止められました。

 もう一つ、この4月から休日と深夜のメール発信を全社的に原則として禁止にしました。これは非常に好評です。

一斉禁止ですか。全社で徹底させるのは難しそうですが、すんなり実施できたのですか。

三輪:「休みのメールを止めると、月曜の朝に山のように届くことになるのではないか」という意見もあったのですが、まずはやってみて問題があったら再検討しようということでわりと大胆に実施しました。そうしたら劇的にメールが減り、心配していたような問題も起きませんでした。裏を返せば、今までどれだけ不要不急のメールが休日に送っていたかが分かりました。

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三品 和広 神戸大学教授