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須賀 昭一(すが・しょういち)

内閣府政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(海外担当)付参事官補佐

須賀 昭一

2003年、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了後、内閣府入府。内閣官房副長官補室への出向などを経て、2009年、北京大学政府管理学院修士課程修了。2010年より現職。現在、「月例経済報告」の海外経済部分および「世界経済の潮流」の作成を担当。また、2012年には国家戦略会議フロンティア分科会平和部会の委員として、「平和のフロンティア部会報告書~平和の包括的な創り手として~」の作成に参加。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

若手官庁エコノミストが読む経済指標

日本と比べ際立って短い中国の人口ボーナス期

2013年7月30日(火)

 今年の1月、中国の国家統計局は、2012年の中国の労働年齢人口(15~59歳)が初めて減少したと発表、このニュースは国内外で大きく報道された。それにともない中国国内では、安価な余剰労働力が枯渇して、賃金上昇が引き起こされるいわゆる「ルイスの転換点」を中国が通過したかについての議論も再燃している。

 日本の高度経済成長も、当初は余剰労働力を活用した労働集約型産業によるものだったが、60年代に「ルイスの転換点」を通過してからは、賃金上昇、産業構造高度化、地域間格差縮小などによって、持続的な経済成長がもたらされた。中国が「ルイスの転換点」に差し掛かっているとすれば、今後の中国経済の発展は、産業構造も含めた経済構造の転換が実現できるかどうかにかかっている。

 すなわち、構造転換が実現できればさらに持続的な経済成長が可能となるが、実現できずに従来型の成長パターンを続けるならば経済成長のスピードは失速する可能性が高くなる。

 ここでは、「ルイスの転換点」をめぐって供給側(余剰労働力)と需要側(産業)にそれぞれ起きている経済構造の変化を代表的な統計データから紹介するとともに、それらが中国経済、ひいては中国に進出する日本企業にどのような影響を及ぼすのか考えてみたい。

「ルイスの転換点」とは?

 そもそも、「ルイスの転換点」はどのようにして引き起こされるのだろうか。近代的工業部門と伝統的農業部門から構成される発展途上国の経済においては、農業部門における余剰労働力を工業部門に供給し続けることによって、雇用は拡大し、労働者の賃金を低水準(生存水準)に維持したまま経済成長を続けることができる。しかし、余剰労働力の供給が減少し、完全雇用が達成されると、賃金水準が上昇しはじめる。

 この転換点がいわゆる「ルイスの転換点」で、ノーベル賞受賞経済学者のアーサー・ルイスが最初に提唱したことからこのように呼ばれている。

 縦軸に賃金、横軸に労働力人口をとった概念図でみると、農村の余剰労働力が工業部門に移るにつれて工業部門の限界生産性(労働者を一人投入した場合の生産量)MIは右に移動する。生存水準賃金aと工業部門の限界生産性MIが交わる点bと、同じく生存水準賃金aが農業部門の限界生産性MAが交わる点cとの間が余剰労働力である。MIが右に移動するにつれて、bはcに接近するが、両者が交わるまでは余剰労働力が存在し、賃金は生存水準に抑えられた状態が続く。そして、両者が交わる時点が「ルイスの転換点」である。そこにおいて、余剰労働力部分はなくなって、完全雇用が達成される。さらに、MI’が右に移動していくにつれて、cはc’へ向かって移動する。そして生存水準賃金aはa’へ移動し、賃金は上昇する(図1)。

図1「ルイスの転換点」概念図

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