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仁林 健(にばやし・けん)

内閣府規制改革推進室企画官

仁林 健

1995年慶應義塾大学院経済学修士課程修了、経済企画庁入庁。国民経済計算部、英国York大学MPhil in Economics留学、国土交通省国土計画局総合計画課課長補佐、在中国日本大使館経済部一等書記官、内閣府副大臣秘書官などを経て、2013年2月より現職。現在は貿易・投資等分野を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

若手官庁エコノミストが読む経済指標

付加価値では日本最大の輸出先は米国

2013年12月9日(月)

 世界の貿易額は、特に2000年代以降、リーマンショック前後を除いて高い伸びを示してきた。この高い伸びを支えてきたのが中国をはじめとするアジアである。特に中国は輸出入両面で大幅にシェアを伸ばし、2009年に米国を追い抜いて日本の最大の輸出相手国になるなど、そのプレゼンスを増している。

 しかし、国際分業が進み、あらゆる商品が「世界製」とでも呼ぶべき状況にある今、従来の貿易統計が必ずしも貿易の真の姿を表しているとは限らない。こうした観点から、「付加価値貿易統計」という新たな概念が注目を集めている。本稿ではこの「付加価値貿易統計」で貿易の新しい姿を見てみることとする。

貿易統計の課題と「付加価値貿易統計」

 貿易統計は国・地域間の輸出入の動向を商品の種類・量・金額で捉える重要な基礎資料であるが、取引をグロス(総額)で記録するため、国際価値連鎖が深化し、中間貿易が財貿易の約56%、サービス貿易の73%を占める(注1)とされる現在の貿易構造を的確に捉えていないおそれがある。簡単な例として、

  • 日本が中国に中間財100を輸出した(単純化のため原材料はゼロと仮定)
  • 中国が中間財を加工して製造した最終財130を米国に輸出した

 というケースを考えよう。通常の貿易統計(以下では「グロス貿易」と呼称する)では日本から中国への輸出が100、中国から米国への輸出が130カウントされ、貿易総額は230となる。しかしこのプロセスで発生している付加価値は日本の中間財製造の100と中国の最終財加工の30、合わせて130である。また日本の中間財の最終的な需要地は米国と考えるべきである。こうした点を踏まえ、

  • 中間財製造の付加価値100は日本が米国に輸出した
  • 最終財加工の付加価値30は中国が米国に輸出した

 と捉えるのが付加価値貿易の考え方である(図1)。

(注1)Lanz, R., Miroudot, s. and A. Ragoussis (2009). “Trade in intermediate goods and services” , OECD Trade Policy Working Paper No. 93

(注)上記図において、赤字がグロスの貿易統計を、青字が付加価値貿易統計を指す

 こうした付加価値貿易の研究でよく引き合いに出されるのがiPhoneである。iPhoneは中国で生産され各国に輸出されるが、iPhoneを含むアップル社の製品に“Assembled in China”とあるように、中国で行われているのは各国で作られた部品の組み立て作業に過ぎない。

 この点に着目し、主要部品の供給国別に分析したXing and Detertの研究によれば、2009年に米国が中国から輸入したiPhone(3G)の輸入額(グロス)は約20億ドルだが、付加価値ベースで捉えるとそのほとんどは日本(6.7億円)、ドイツ(3.3億円)などの国・地域からの輸入であり、中国からの輸入は0.7億ドルに過ぎないという。

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