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石渡 正佳(いしわた・まさよし)

千葉県県土整備部用地課土地取引調査室長

石渡 正佳

1958年千葉県生まれ。産廃Gメン時代に出版した『産廃コネクション』(2002年)が2003年「日経BP・BizTech図書賞」を受賞した。電子書籍『産廃水滸伝~産廃Gメン伝説~』を毎月刊行中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

エコロジーフロント

廃棄物横流しに巻き込まれない方法とは

2016年2月29日(月)

産廃業者に冷凍カツを横流しされた「CoCo壱番屋」(写真:伊藤真吾/アフロ)

 カレーチェーン店の「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋が廃棄した冷凍ビーフカツの流出を端緒として、廃棄物処理・リサイクル業者ダイコー(愛知県稲沢市)の廃棄食品横流し事件が波紋を広げている。排出事業者として、マルコメみそ、ニチレイフーズ、セブン&アイ・ホールディングス、ローソン、イオンなど大手食品製造・流通企業の名前が次々と挙がっているからだ。

 1999年に発覚した日本最大規模の不法投棄事件である「青森・岩手県境不法投棄事件」を思い出した読者もいるだろう。当時、青森県と岩手県は、不法投棄を実行した廃棄物処理業者だけでなく、マニフェスト(産業廃棄物管理票)などから判明した排出元の企業に対しても、廃棄物を現場から撤去する「措置命令」を出した。企業にとっての廃棄物管理の重要性がクローズアップされた事件だった。

 今回の横流し事件では、生活環境保全上の支障が起きなければ措置命令の対象になる可能性は低いとみられるが、倉庫などに食品廃棄物が放置され処理が困難だと行政が判断すれば、ダイコーに処理を委託した企業は自主的な撤去を求められることもあるだろう。さらに、事件に関与したことに対する風評被害は免れない。企業の間には改めて廃棄物のコンプライアンスを見直す動きが広がっている。

 ただ、食品廃棄物に関する法律の規定が複雑すぎて実態からかい離している現状があり、それが今回の事件の一因になっている点も見逃せない。本稿では、まず規制と実態のかい離を確認した上で、企業はどのように対処すればよいのかを考えたい。

守りたくても守れない法律

 この問題を検討するに当たり、まず食品廃棄物への規制がどうなっているのかを見ておこうと思う。ここが曖昧だと、さまざまな誤解を生むことになる。

 食品廃棄物を規制しているのは、廃棄物処理法と食品リサイクル法だ。廃棄物処理法は主に廃棄物が適正に処理されるように規制を定めている。これに対し、食品リサイクル法は、食品廃棄物を排出する企業がリサイクルを効率的に進めるために廃棄物処理法の規制を緩和するという性格を持つ。

 事業活動に伴う食品廃棄物は、大きく2つのルートから排出される。第一はスーパーやコンビニ、飲食店などから廃棄される「流通ルート」、第二は食品メーカーの工場や倉庫から廃棄される「工場ルート」だ。

 流通ルートから廃棄された食品は、一般廃棄物(一廃)になる。弁当工場や給食センター、外食チェーンのセントラルキッチンなど、調理で出るものもこちらに該当する。一廃は主として自治体が処理するが、大量に廃棄される場合には自治体の清掃工場などで受け入れを拒否されることがままある。この場合、その地域に民間の一廃処理施設がなければ、事実上、産業廃棄物(産廃)として処理されることになる。

 産廃とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、紙くずや木くずなど廃棄物処理法で定められた20種類を指す。食品系では「動植物性残さ」「廃酸」「廃アルカリ」「廃(食)油」などが、この20種類に該当する。ここで注意が必要なのは、動植物性残さはすべてが産廃になるわけではないことだ。「食品製造業、医薬品製造業、香料製造業」から排出されるものに業種が限定されている。これに対し一廃は、産廃以外の廃棄物と定義されている。だから、流通ルートは一廃になる。

 一廃と産廃では規制の内容が異なる。例えば産廃は、排出する際にマニフェストを交付し処分が完了するまで管理することが排出企業に義務付けられているが、一廃にはマニフェストの交付義務はない。処分する施設も一廃と産廃では許可の種類が異なる。

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