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齋藤 卓爾(さいとう・たくじ)

慶応義塾大学大学院経営管理研究科准教授

齋藤 卓爾

2000年一橋大学経済学部卒業、2001年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2004年博士課程単位取得退学。2006年一橋大学で博士(経済学)を取得。2004年~2007年日本学術振興会特別研究員。京都産業大学経済学部講師、同准教授を経て、2012年から現職。専門はコーポレート・ファイナンスとコーポレート・ガバナンス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

MBA看板教授が読むビジネス潮流

「任せて監視」の統治スタイル確立を

2013年8月7日(水)

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちに読み解いていただき、新たなビジネス潮流を導き出してもらう。

 8月のテーマは、日本企業が海外の企業や事業を対象に実施する「クロスボーダーM&A(合併・買収)」。グローバル競争での勝ち残りを目指す日本企業にとって、海外展開を加速する有力な手段として、その重要性は高まっている。だが、これまでの事例では「失敗」と指摘されるものも多い。クロスボーダーM&Aをうまく行って成果を引き出すためのポイントは何か。国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客がリレー形式で登場し、持論を披露する。

 第2回の今回も、慶応義塾大学大学院経営管理研究科の齋藤卓爾准教授にクロスボーダーM&Aを実施した後にたどるべき統合プロセスについて解説してもらう。

(構成は小林 佳代=ライター/エディター)

 前回、クロスボーダーM&Aを実施した後には、ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)、つまり、どのような統合プロセスをたどるかが重要であると指摘しました。

 文化的にも言語的にも距離がある海外の企業を統合するのは容易ではありません。カギを握るのは経営者の能力ですが、日本企業の経営者はほとんどが生え抜きです。課長、部長、役員と上がって社長になるのですから、その会社のことしか知らない。全く知らない海外の企業を経営するのは難しいでしょう。

(写真:陶山 勉)

 しかもM&Aはトップダウン的に統治していかなくてはうまく行きませんが、日本企業はボトムアップ的な経営がなされていることが多い。経営者に、M&A後のグローバル経営を担うのに十分な能力があるかというと、疑問符がつきます。

 日本板硝子はそれを自覚していたのでしょう。M&Aを実施後、あえて外国人経営者に任せてしまおうと考えました。ユニークな判断だと思います。ところが、うまく行かなかった。恐らく、欧米企業流の権限の強いトップと、日本企業ならではの“究極の中間管理職”的なトップとの差を埋められず、齟齬が生じたのだろうと私は見ています。

 この“壮大な実験”ではっきりしたのは、「クロスボーダーM&Aを実施した後に『統合』を目指すのは難しい」ということです。

 クロスボーダーM&A後の統合が難しいのは日本企業に限ったことではありません。1998年、独ダイムラー・ベンツと米クライスラーが合併し、ダイムラー・クライスラーが誕生しましたが、わずか9年後に袂を分かっています。解決しがたい文化の衝突はどんな国の企業にも起き得るのです。

 そうなると、解の1つは、M&Aで統合を目指すのではなく、本社とはある程度分けた形で、現地企業は現地の経営者に任せるというやり方です。

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長