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吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

吉田 忠則

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

◇主な著書
見えざる隣人』(日本経済新聞出版社) 2009
農は甦る』(日本経済新聞出版社) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ニッポン農業生き残りのヒント

ベテラン農家はなぜ記者の酒量を批判したのか

2017年8月18日(金)

 農業への筆者の関心は、どちらかというと、栽培より経営にある。そのため、現場発の情報を心がけてはいるものの、どうしてもスーツ姿の経営者に取材することが多くなる。そこで、今回はより畑に重点を置いたエピソードをお届けしたいと思う。紹介するのは、有機農産物の宅配を手がける大地を守る会(千葉市)の生産者、吉沢重造さんだ。

 取材のきっかけは、大地を守る会の社長、藤田和芳さんへのインタビューだった。春先に何回か取材する機会があり、藤田さんと長年親交のある生産者を紹介してもらえることになった。それが、75歳のベテラン農家の吉沢さんだった。1981年から大地を守る会に出荷しており、藤田さんは「重造さんと大地を守る会は一緒に成長してきた」と話す。

 栽培面積は4ヘクタール。埼玉県川越市で、大根やサトイモ、ニンジン、ホウレンソウ、それにネギに似た緑黄色野菜のワケギなどを育てている。

朝4時に畑に行って、暗くなったら庭で缶ビール

 インタビューはまず、吉沢さんの家の庭のテーブルで始まった。農家らしく広い庭で、巨大な扇風機が風を送っている。藤田さんが「ここはいいね、暑いけど、さわやかだね」と話すと、吉沢さんが応じた。「仕事を終えて暗くなったころ、風呂から出て浴衣に着替え、『今日も無事だった』と思いながら、ここでビールを飲むんだ」。

吉沢重造さんは過剰を排し、バランスを重視する。(埼玉県川越市)

 「前は気のすむまで飲んだけど、いまは缶ビール1つでいい気持ちになっちゃう。2、3本飲んで当たり前だと思ったら、2、3本飲んじゃうけど、健康のことを考えたら、1本で十分」。吉沢さんが農作業のあとのビールのおいしさを語っているとき、つい余計なことを言ってしまった。

 「私は3、4本飲んでますよ」

 何気ないこのひと言が、この日のインタビューに影響してしまうのだが、それは後述しよう。

 一日の仕事納めのひとときの話題になったので、毎朝いつごろから仕事をしているのかを質問した。「朝3時半に起きて、4時に畑に行って、トウモロコシの収穫」。まだ日が昇っていないので、手で触り、トウモロコシの膨らみ具合で収穫すべきかどうかを判断する。感触だけでわかるのかと聞くと、「それがわかんねえようじゃ」とひと言。

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私の仕事は経営することではなく、リーダーであることです。

ジェンスン・フアン エヌビディア創設者兼CEO