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河井 保博(かわい・やすひろ)

日経BPクリーンテック研究所上席研究員

河井 保博

センサーネットワーク、オープンデータ/ビッグ データなどICTの観点から、スマートコミュニティを調査・分析・提言する。「Smart City Week」のプログラム責任者、「スマートシティ・サービス研究会」の企画責任者。スマートシティ・プロジェクトの調査ではマレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、台湾などアジア諸地域を担当する。特にICTソリューションに関して深い知見と人脈を持つ。専門領域はICT、社会インフラ、ソーシャルデバイス

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日本にいては分からないスマートシティの進化

低炭素化と経済発展を同時に目指すイスカンダル

2013年9月2日(月)

 急速な経済発展に伴い、人口の急増が続くアジア。一方で、大気汚染やCO2排出量の増加、気候変動といった課題が膨らんでいる。そこで重要になるのが、CO2排出量を抑えた低酸素社会の実現である。社会インフラの整備が急ピッチで進むアジアの各都市では、将来を見越して、低炭素を意識したスマートシティづくりが進み始めている。代表例が、マレーシアの「イスカンダル開発計画」である。

急速な発展で環境対策が急務に

 マレーシアは、アジアの中でも急速な発展を遂げている国の1つである。これに伴い、都市部での渋滞、大気汚染、自然環境の破壊などの問題が深刻化している。生活水準の向上に伴い、エネルギー消費量とCO2排出量も増大。豪雨や洪水、土砂崩れなど、地球温暖化に起因するとみられる自然災害も増えている。このことから、環境問題への取り組みが重要性を増している。

 マレーシアは以前から、環境関連の政策を打ち出している。例えば2002年には「国家環境政策」、2009年には「国家グリーンテクノロジー政策」「国家気候変動政策」を発表した。

 グリーンテクノロジー政策では、製品へのラベル表示などを通じてグリーンテクノロジーそのものの認知度を高め、同時にグリーンテクノロジーを採用することに対する認識を公に広める。そして、こうした活動を通じて、製品・サービスを調達する際にグリーンテクノロジーが好んで選ばれるようにしていく。同時に、マレーシアでのグリーンテクノロジー製品の生産量増大、国内の大学や研究機関の協調の下でのグリーンテクノロジーの研究開発を活発化させる。

 こうした中にあって、マレーシアでは今、アジア最大級といえる開発プロジェクト「イスカンダル開発計画」が進められ、世界中から注目を集めている(写真1)。「低炭素社会」の実現を目指しつつ、貿易、工業、教育、観光などの産業を強化する総合都市開発プロジェクトで、日本からは国立環境研究所などが協力しているほか、三井物産などが都市開発に参画している。

写真1:イスカンダル開発地域

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