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黄 リン(こう・りん)

神戸大学大学院経営学研究科教授

黄 リン

1962年生まれ。1979年北京大学数学系入学。1985年神戸大学経営学部卒業。90年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。商学博士を取得。神戸大学経済経営研究所助手、小樽商科大学商学部助教授、神戸大学経営学部助教授などを経て2003年から現職。神戸大学アジア総合学術センター・中国事務所副所長を兼任。
専門はマーケティングと流通システム。特に日米欧企業の中国市場戦略に関する研究や中国経済の市場化と流通システムの発展に関する研究に注力している。

◇主な著書
新興市場戦略論』(千倉書房) 2003
小売企業の国際展開』(中央経済社) 2009
日中関係史1972-2012 Ⅱ経済』(東京大学出版会) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

MBA看板教授が読むビジネス潮流

適切なリスク管理で中国でのハイリターンを狙え

2013年9月5日(木)

 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちに読み解いていただき、新たなビジネス潮流を導き出してもらう。

 9月のテーマは、日本企業が直面する「チャイナリスク」。2012年9月11日に日本政府が尖閣諸島を国有化してから1年。中国国民の間でくすぶり続ける反日感情は、現地に進出している日本企業の事業活動にどのような影響を及ぼしているのか。また、賃金の高騰などによって、「世界の工場」としての中国の位置づけは変わりつつあると言われるが、実態はどうなのか。国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客がリレー形式で登場し、持論を披露する。

 トップバッターは、神戸大学大学院経営学研究科教授で、マーケティング・流通システムを専門とする黄磷(こう・りん)氏。前回で指摘した真のチャイナリスクを受けて、中国に進出している日本企業が取るべきリスクマネジメント手法について今回は論じる。

(構成は峯村創一=ライター)

 リスクマネジメントについていろいろな企業にヒアリングを行っていると、原子力発電所のリスク管理と同様に、大きな事故の発生を想定することも、議論することもはばかられるようなカルチャーが、日本企業の中にあるのではないかと感じることがあります。

 「生まれる前に葬式のことを考えておく」という言葉があるように、欧米企業では、事業戦略を立てる段階でリスクを冷静に評価して、織り込んでおくのが普通です。そして、一企業では負担できないようなリスクが想定されるなら、あらかじめ保険をかけたり、中国現地のパートナーにリスクを転嫁したりする。これは、ビジネス戦略を実行に移す前にやっておくべき鉄則です。

 前回に指摘したように、中国市場は非常に変化が激しいため、日本の本社から現地をコントロールし、日本国内で判断することは非常に困難です。現地で情報を吸い上げ、スピーディーに意思決定を行う必要があります。

 そこで問題になるのが、現地トップにどのような人材を登用するかです。

現地トップの「現地化」が必須

 日本企業の場合、現地法人のトップに日本人、あるいは日本語ができる人材しか登用しないことが多い。中国に生産拠点を新設した場合、ベテラン社員より、若手で管理経験の乏しい社員達が日本から多く派遣されてきます。中には、本社勤務で工場管理業務だけをやっていた人を、現地の総経理として起用するケースもあります。

 特に、日本の中小企業に勤めていて海外経験がほとんどなく、人事制度や工場の労務管理、営業社員の管理などをいきなり中国で行わなければならない状況だと、リスクは非常に大きくなります。明らかに能力やノウハウが不足し、現地での急激な変化に即応することができず、有事の際は組織全体がパニック状態に陥ってしまいます。

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