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渡部 敏明(わたなべ・としあき)

一橋大学経済研究所教授

渡部 敏明

1986年東京大学経済学部経済学科卒業。93年12月、米エール大学大学院経済学博士(Ph.D.)。94年4月 東京都立大学経済学部助教授、2001年10月 東京都立大学経済学部教授。2005年3月 日本銀行金融研究所シニアフェロー。2006年4月一橋大学経済研究所教授。専門は計量ファイナンス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ノーベル経済学賞2013

「合理性」「市場の効率性」に疑問投げ続けたシラー教授

2013年10月18日(金)

 米エール大学のロバート・シラー教授が米シカゴ大学のユージン・ファーマ教授、ラース・ハンセン教授と共に2013年度ノーベル経済学賞を受賞された。シラー教授は私のエール大学時代の指導教官であり、大変お世話になった。自分のことのように嬉しいし、心からお祝いを申し上げたい。私は学生時代からシラー教授のことをボブと呼ばせて頂いているが、ノーベル経済学賞受賞者をボブと書くのはいささか気が引けるので、ここではシラー教授と書くことにする。

 シラー教授は1972年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学博士号(Ph.D.)を取得された後、米ペンシルバニア大学、米ミネソタ大学で教鞭を取られ、82年から現在までエール大学に在籍されている。シラー教授の著書『Market Volatility』(MIT Press)を読んで資産価格のボラティリティ(変動性)に興味を持った私は、エール大学で2年間のコースワークが終わるとすぐにシラー教授の研究室を訪ね、指導教官をお願いし、快く引き受けて頂いた。

「投資家の合理性」「市場の効率性」を反証

 今回のノーベル経済学賞は資産価格の実証研究に対して与えられたものであるが、シラー教授の専門はマクロ経済学、金融論、計量経済学と多岐に渡っており、それぞれの分野で素晴らしい業績を挙げている。若い頃はまず計量経済学者として頭角を現し、シラー・ラグと呼ばれる今でも使われている分布ラグの定式化を開発している。

 その後、シラー教授を学界で有名にしたのは、間違いなく、81年にAmerican Economic Review(AER)誌に掲載された論文“Do stock prices move too much to be justified by subsequent changes in dividends?”(参考文献[6])であろう。投資家が合理的で、市場が効率的であれば、株価は将来の配当の割引現在価値の期待値として決まる。将来の配当の割引現在価値はその期待値の周りをさらに変動するので、将来の配当の割引現在価値の方がその期待値より変動(分散)が大きくなる。

 そこで、株価が将来の配当の割引現在価値の期待値に等しいなら、将来の配当の割引現在価値はその期待値である株価よりも分散が大きくなるはずである。シラー教授は上記のAERの論文で、株価の方が配当の割引現在価値より分散が大きいことを示した。この結果は、投資家の合理性や市場の効率性の反証として学界で大きな反響を呼び、その後、株価の非定常性やリスクプレミアムの変動を考慮して再検証しようとする試みが多くの研究者によって行われた。シラー教授自身も弟子のジョン・キャンベル現ハーバード大学教授と共に統計手法を改良して再検証している(参考文献[4], [5])。

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