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福島 安紀子(ふくしま・あきこ)

東京財団上席研究員

The Paul H Nitze Scholld of Advanced International Studies (SAIS) Johns Hopkins University卒(修士号)、大阪大学大学院(国際公共政策)博士号。
総合研究開発機構主席研究員、国際交流基金特別研究員を経て、2013年より現職。
そのほか在ブリュッセルEU-Asia Centre国際諮問委員、Global Governance誌Co editorを務める。また、2000~2009年まで防衛施設中央審議会委員。2002~03年British Columbia University客員教授など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

アフリカの角紀行

アフリカの地域統合は実現するか

2013年12月26日(木)

 アフリカの角地域には、政府間開発機構(Inter-Governmental Authority on Development=IGAD、イガッド)という地域機構がある。紛争が多い域内の平和と安全の確保、及び地域統合の実現を目標に掲げて活動している。

 このような地域経済共同体(Regional Economic Communities: RECs)と呼ばれる地域機構がアフリカの各地域に設けられている。多層構造で知られるアジア太平洋地域の地域機構図をはるかに凌駕する複雑な構造になっており、まるでジグソーパズルのように入り組んでいる(関連情報)。

 これらの地域機構はいずれも「地域統合(regional integration)」を目標に掲げている。「地域統合」とはどのようなものなのか? 関税を相互に撤廃する共同市場か? あるいはユーロのような究極の通貨統合も狙っているのか? はたまた政治統合か? IGADのマーリム事務局長に尋ねると「要はEU(欧州連合)」だと答えが返ってくる。

 どの地域機構の関係者に尋ねても同じ回答が返ってくる。しかし、その夢の内容を掘り下げて聞いていくと、その姿は現在のEUではなく、石炭鉄鋼共同体(ECSC)が近い。第2次世界大戦後、再び戦争が起きることを避けようと、不戦共同体として創立された機関だ。現在のEUの前身である。

 IGADには、ソマリアやスーダンのような長い紛争に苦しんできた国々が加盟している。経済協力を謳ってはいるものの、まずは平和と安定の促進、紛争の予防・管理・解決が喫緊の課題である。「ユーロ」はアフリカの角地域の夢にも出てこない。

 アフリカの場合は、鉄鋼と石炭を共同管理するのではなく、鉄道、道路、通信網などのインフラを整備して地域全体をつなごうとしている。これをベースに国境紛争を抑制しようと目論んでいる。面談相手は、口をそろえて「connectivity」が出発点だと強調した。

地域連合が抱える課題~能力不足と乱立

 地域機構は強力なリーダーが存在するか否かで、有効に機能するかどうかが決まると言われる。IGADではエチオピアが議長国を務めており、平和と安定を確保する面で実績があると評価されている。

 ただしエチオピア自体は安定しているものの、周辺には紛争国が多い。いずれの国も地続きなだけに、周辺国が不安定になれば自国にも影響が出る。エチオピアは、自国の利益のためにも、アフリカの角地域を安定させることに積極的に取り組んでいる。

 マーリムIGAD事務局長は、平和と安定についてIGADが果たす役割を強調しながらも、ソマリア人対ケニア人、ソマリア人対ジブチ人など、言語も宗教も同じでありながら対立が続く現状をこぼす。アフリカの角地域は乾燥地域であり、推定1950万人の遊牧民が5カ国の国境を、ラクダ、牛、羊、ヤギとともに水と牧草地を求めて、行ったり来たりしている。そのため国境近辺における遊牧民同士、あるいは遊牧民と定着民との抗争が絶えない。いったん火がつけば、武力紛争に発展しがちだ。

 このためIGADは2002年に紛争早期警戒・対応メカニズム(Conflict Early Warning and Response Mechanism: CEWARN)という半官半民の専門家ユニットを設立し、紛争当事者間の調停を行っている。いさかいの情報を早期に収集し、武力紛争に発展することを予防する試みだ。

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