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坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント/未来調達研究所株式会社取締役/講演家

坂口 孝則

2001年、大阪大学経済学部卒業。電機メーカー、自動車メーカーで勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。2010年、株式会社アジルアソシエイツに参画。2012年、未来調達研究所株式会社取締役就任。製造業を中心としたコンサルティングを行う。またコンサルティングで使用していた数百ページの資料が話題となり、企業内研修も行う。各メディアで、商品原価、サプライチェーン、ビジネスモデルなどの発信を行う。ホームページ「世界一のバイヤーになってみろ!」で無料配布している調達業務教材は、当領域1万人に読まれている。

◇主な著書
調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社) 2013
牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎) 2008
モチベーションで仕事はできない』(ベストセラーズ) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

目覚めよサプライチェーン

ウォルマートのCMの今さら感とアメリカの絶望

2017年9月13日(水)

 だいぶ前、部屋で友人とテレビを見ていると、殺人事件を報じていた。おそらく20年ほど前になるだろうか。テレビに出る側になってわかったのだが、殺人事件については、痛ましいとは思うものの、なかなかコメントのバリエーションがない。「早く解決してほしいですね」「再発防止に取り組んでもらいたい」「犯人の動機がわからない」とか、おそらくこの3つのコメントで9割はカバーしているだろう。

 ところで、私がテレビで見ていたという、その殺人事件については、詳細を全く覚えていない。ただ、女性コメンテーターが、家族のつながりとか地域社会の連携の重要性を熱っぽく語っていたのを覚えている。

 いや、その程度のコメントなら、今日でも聞けるではないか。おそらく、その殺人事件は身内が犯人で、そのコメンテーターは家族や地域の紐帯(ちゅうたい)が大切であると語っていたのだから、きっと類似の事件があるたびに画面のコメンテーターたちは同じような内容を繰り返していたに違いない。

 しかし、私の記憶に残っているのは、私がそのテレビを見ながら、ふと「そんなに大事なら、強調する必要があるのかねえ」といったときの、友人の返しだ。私の意図は、「大事だとみんなが認識していることを、あえて繰り返す必要性があるのか」という意味だった。すると友人は「いや、うすうす、みんなが大事じゃないと思っているからこそ、強調する必要があるんだよね」といった。これは新鮮な驚きだった。

 なるほど、これはすべてに適用できるに違いない。

 伝統が重要ならば、伝統の重要性をあらためて語る必要はない。心のなかでは伝統なんて不要だと多数が思うから、その重要性を語るひとが出てくる。ナショナリズムがほんとうに大事だと国民全員が感じていれば語る必要はない。しかし、むしろ不要になった局面にこそナショナリズムを語る勢力が勃興してくるのだ。

ウォルマートのCM「Many Chairs. One Table.」

 ウォルマートは先月末に1つのCMを発表した。タイトルは「Many Chairs. One Table.」で「多くの椅子。1つのテーブル」と訳せる。動画を見ると、多様なひとたちが椅子をもって集い、そして、1つのテーブルで食事会を催す。

 説明するまでもなく、椅子とは人種や年齢を示す。そして、1つのテーブルが指すのは、彼らをまんべんなくお客としているウォルマートだ。バックで流れるのは、ヤングブラッズの「ゲット・トゥゲザー」だ。

 CMの絵は美しい。そして、曲ともうまくからまっている。しかし、この絶望的な古さはどうしたことだろう。人種や性別、年齢にかかわりなく、一緒に生きましょう! というメッセージ。1980年代、90年代ならばわかる。いや、LGBT(性的少数者)をからめるのであれば、まだ理解できる。しかし、あまりにストレートな表現が、逆説的にアメリカが後退している象徴のように思えるのだ。

 先日、トランプ大統領を再び世間は非難した。バージニアでの事件に関するものだった。白人至上主義者やネオナチの集会に抗議した女性が殺された。そして騒ぎが起きた。もちろん思想の好みはひとそれぞれだろう。

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日本全体として若い世代にもっと所得の分配をしていくべきだと思う。

川野 幸夫 ヤオコー 会長