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坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント/未来調達研究所株式会社取締役/講演家

坂口 孝則

2001年、大阪大学経済学部卒業。電機メーカー、自動車メーカーで勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。2010年、株式会社アジルアソシエイツに参画。2012年、未来調達研究所株式会社取締役就任。製造業を中心としたコンサルティングを行う。またコンサルティングで使用していた数百ページの資料が話題となり、企業内研修も行う。各メディアで、商品原価、サプライチェーン、ビジネスモデルなどの発信を行う。ホームページ「世界一のバイヤーになってみろ!」で無料配布している調達業務教材は、当領域1万人に読まれている。

◇主な著書
調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社) 2013
牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎) 2008
モチベーションで仕事はできない』(ベストセラーズ) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

目覚めよサプライチェーン

年収3万の農民に未婚の母、中国貧民の向かう先

2017年11月22日(水)

(写真=山田 泰司)

 コンサルタントをしていると、つねにn数が話題になる。調査報告書をまとめる。世界の現状、潮流。そして打つべき施策。その論理に説得性と納得性をもたせるのは、つねに母数だ。「サンプル数は何人か」「それは一部の事象にすぎないのではないか」――。そういった質問と無縁だったことはない。だから多数の傾向から、なんとか現状を抉り出す結論を導く。

 しかし、コンサルタント自身がわかっているのだ。世の中がそれほど単純ではないと。そして、わかっているのだ。複雑な世界において、それを統一して記述できるほどの明確さは存在しないと。それをわかりつつコンサルタントは、さらに自身の論理性やデータを増すことでしか業務にあたることはできない。

 それなのに世界は、ずっとその論理世界からいたずらっぽく網の目を抜けて、ひとびとが想像できるていどの意味をはるかに超えていく。データを大量に集めた報告書よりも、たった一つの、n=1の個体のほうが、はるかに何かを訴える場合がよくある。

 たいしたエピソードではない。

 以前、ベトナムで日本へ招聘する実習生の面接を手伝った際の話だ。

 ベトナムの若者8人のなかから、2人を選抜しようとしていた。彼らは数カ月の日本語教育を経て、自己紹介を語り、そして日本での夢を語る。たどたどしい日本語で、語る内容はそれほど高度ではない。日本で技能を身につけ、そして帰国してやりたいことを述べる。

 ほとんどの受験者は型通りの受け答えをする。「必死で頑張る」「親も応援してくれている」「真面目なのが取り柄です」。テンプレートに飽きた私は、「帰国したら、自動車関連企業を興したい」と語る一人に、「じゃあ、預金の使いみちは」と聞いた。すると彼は「アマダのベンディングマシンを買う」といい、隣にあったパソコンでそれを調べて私たちに見せた。その後、「3年働いたお金でこれを買います」。そして、いくらで買えるはずだ、と述べた。

 もちろん彼をベトナムの若者代表として描くことはできない。ただ、ベトナムを彼のような若者が支えていき、そして、試行錯誤のなかから自動車のサプライチェーンに介在する企業群が生まれる、と予想することができた。

 「ベトナムは自動車輸入関税が高く自国産業が守られてきた。しかし、AEC(アセアン経済共同体)への加盟によって関税が引き下げられる。そうすると、ベトナムの自動車産業は斜陽していくだろう」――といったような、マクロな観点から語られる経済解説とは真逆の、しかし、はるかに実感を伴った理解を私には与えてくれる。

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長