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山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

山田 泰司

1988~90年中国山西大学・北京大学留学。1992年東洋大学文学部中国哲学文学科中退。1992~2000年香港で邦字紙記者、1997年の香港返還はもとより、香港市民の暮らしに焦点を当てた取材を重ねた。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。この間、カルチャー、経済を中心に中国に生きる人・モノの取材を続けてきた。2010年からは、EMS(電子機器受託製造サービス)企業・市場に特化した情報サービスを提供するEMSOneのニュースサイト編集を担当、編集長も務め現在に至る。NHKラジオ海外リポーターは1998年から。日経BP社が製造業/ハイテク産業に携わる技術者・研究者・製品企画者に向けた総合技術情報サイト「Tech-On!」に2011年5月から「上海発 EMS通信」連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

中国生活「モノ」がたり~速写中国制造

シャープ全社員必読! テリー会長の愛読書10冊

2017年1月12日(木)

(写真:ロイター/アフロ)

 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は2017年1月10日、2016年の連結売上高が4兆3569億台湾ドル(約15兆7600億円)で前年比2.8%減の減収だったことを明らかにした。同社の減収は1991年の上場以来、初めてのことである。

 昨年2月のシャープ買収で日本での注目度が格段に高まった鴻海だが、その後も12月6日には米大統領就任が決まったドナルド・トランプ氏に500億米ドル(約5兆8000億円)の投資を約束したソフトバンクグループに追随する形で70億米ドル(約8100億円)の投資と5万人の雇用機会創出を計画していることが明らかになったり、中国広東省広州に日本円で1兆円(610億元)の液晶パネル工場建設をぶち上げたりと、年末まで派手な動きが続いた。

上場以来の初の減収が示すiPhone依存の危うさ

 ただ一方で上場25年で初めての減収は、売上高の5割を占め同社の屋台骨を支える米アップルのスマートフォン(スマホ)iPhoneの販売動向が、鴻海の業績を大きく左右するという事実を改めて突きつけることになった。鴻海と同じ台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)では、4.7インチのiPhone 7を中心に製造を受注する和碩聯合科技(ペガトロン)が、2016年の連結売上高で前年比4.5%減の1兆1500億台湾ドル(約4兆1800億円)と、やはり2010年の上場以来初の減収となった。中でも台湾のアナリストの多くが1000億台湾ドル(約3600億円)の大台は割らないと見込んでいた2016年12月は、ふたを開けてみれば前月比33.2%減、前年同月比27.4%減の840億台湾ドル(約3056億円)と予想を大きく下回った。この2社の業績から台湾市場では、不振が言われるiPhone販売は、予想よりもさらに悪いのではないかとの懸念が広がっている。

 「日本経済新聞」は2017年1月7日付で、鴻海とシャープがiPhoneへの供給を目指し、中国河南省鄭州に有機ELパネルの製造工場建設の検討に入ったと報じた。シャープはこれまで有機ELの試作ラインを大阪堺市に置くとしていた他、量産ラインも日本国内を想定していると見られていたが、日経新聞は、地元政府の支援が見込める中国に置くことにしたと伝えている。鄭州は鴻海がiPhone製造の主力工場を置く土地で、ここに有機ELパネル製造工場を設ければ輸送コストを抑えることができ受注に有利との思惑が働いているようだ。

 ただ、鴻海の地元台湾では、シャープ、鴻海とも有機ELパネルの製造経験がないことから、アップルがiPhone向けを発注することは当面ないとする見方や、iPhoneの製造委託や部材発注を鴻海に集中するのをアップルが避けるのではないかとの観測もある。

 初の減収でiPhone依存リスクが鮮明になる一方で、iPhone囲い込みを強化する。iPhoneを中国で造り続ければ米国への輸入に高額の関税を課すと吠えるトランプ砲に雇用と投資をちらつかせながら、中国への投資拡大を決める。鴻海を一代で15兆円企業に育て上げた創業経営者テリー・ゴウ(郭台銘)会長が、したたかさを発揮して両睨みの戦略を用いているようにも思えるが、一方で、iPhoneの不振と自社の減収を経てもなお投資を拡大し続ける姿は、大量生産によるスケールメリットでコストを下げるという経営手法からの脱却を図りかね迷走しているようにも見える。

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