秋山 ゆかり

秋山 ゆかり

事業開発コンサルタント・声楽家

秋山ゆかりの女性キャリアアップ論 多様性マネジメントの鍵は中間管理職にあり

個人のニーズを聞きながら、目標を達成させるチームを作る

  • 2017年09月29日(金)

 データ分析に基づく働き方に関する読書会を開いたときのことです。取り上げたのは、『日本の人事を科学する』(大湾秀雄著、日本経済新聞出版社)と『働き方の男女不平等』(山口一男著、日本経済新聞出版社)の2冊です。企業のシニアマネジメントをはじめ、ベンチャー企業の方や、フリーランスの方など、多様なバックグランドの方にご出席いただき、働き方に関する議論をしました。そこで話題となったのが、男女問わず多様な働き方を希望する人たちのマネジメントをどう行うかと、その人たちの公平な評価システムなど、具体的な施策についてどうするかということでした。

 そこで今回は、アジア、中東、アフリカと、様々な国で、多国籍チームのマネジメントに関わり、破綻した企業の再生や変革プロジェクトを担当してきた私の経験から、多様なバックグランドを持つメンバーのマネジメントについて実施ポイントを2つご紹介します。1つ目は、多様なメンバーを揃えたパイロット・プロジェクトの実施、2つ目は、適切な評価ができる中間管理職の育成です。

成功モデル構築に向けて、パイロット・プロジェクトを実施しよう

 組織全体で、多様な人材を活用できるようにしたいという気持ちは多くの経営者にあると思いますが、まずは確実に成功しそうなチームでモデルを示すパイロット・プロジェクトを実施することをお勧めします。成功例ができると、うちの組織でもできるかも? と社員から受け入れられやすくなり、自社の文化に合った成功モデルが見つけやすくなるからです。

 私がパイロット・プロジェクトを実施する際に、チームメンバーの選定で気をつけているのは、以下の5点です。

1. マネジャーが、サーバント(支援型)・リーダータイプである

 旧来の支配型リーダーではなく、「相手に奉仕し、その後相手を導く」リーダーシップ・スタイルを持つ人です。 NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会によると、サーバント・リーダーには10の特性があるそうです。傾聴、共感、癒し、気づき、納得、概念化、先見力、執事役、成長への関与、コミュニティづくり。この中で、多様性のマネジメントへの変革をするときに重要となるのが、傾聴です。一人一人の状況を丁寧に聞き、それぞれが結果を出すために最も効果的にかつ協調的に仕事をすることを支援することです。多様な人材のマネジメントは旧来のリーダー像とは異なる人がリーダーでなければ実現できないため、サーバント・リーダータイプのマネジャーであることが不可欠なのです。

2. すでにいる多様なバックグラウンドやライフステージの人(時短労働者、ワーキングマザー、単身赴任中の伴侶がいる人、介護中の人、外国籍の人など)をアサインする

 「すでにいる」という点がポイントです。パイロット・プロジェクトのタイミングでライフステージが変わる場合、「本人にとって初めてのことに直面している事象」なのか、それとも「プロジェクトによって誘因されて初めて起きた事象」なのかを区別するのが難しくなります。

 ライフステージが変わった人の具体的な例を挙げると、例えば、第一子の育休から復職したばかりのワーキングマザーです。仕事と家庭の両方を同時に回すことに慣れるのに時間がかかる人が少なくありません。また、日本にはじめて赴任してきたばかりの外国籍の人も、日本の生活に慣れるまでに時間がかかることもあるでしょう。

3. マネジャーを含むチームの1/2以上が、「変わらないとまずい」という危機意識を持っている

 危機感を持っていないチームで仕事のプロセスを劇的に変えるのは非常に難しいことです。まず危機感を持ってもらうところからのスタートとなるからです。すでに「うちの会社はこのままではまずい」と思っている人が半数以上いるチームであれば、変えること、変わることに自らチャレンジしてくれます。

    著者プロフィール

    秋山 ゆかり

    秋山 ゆかり(あきやま・ゆかり)

    事業開発コンサルタント・声楽家

     1973年生まれ。イリノイ州立大学アーバナ・シャンペン校 情報科学学部・統計学部卒業。イリノイ州立大学在学中に、世界初のウェブブラウザーであるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスや インターネット映画広告サービス等数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。
     ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタントを務めた後、イタリアへ声楽留学。 帰国後、国内外で演奏活動をしながら、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長等を歴任。2011年には、全IBMの社員の中から40人のリーダーの1人に、日本人女性で唯一選ばれた。2012年株式会社Leonessaを設立。戦略・事業開発コンサルティングをはじめ、コンサートのプロデュースや演奏を行う。明治大学 サービス創新研究所客員研究員。

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