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小寺 信也(こてら・しんや)

内閣府政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(経済対策・金融担当)付政策企画専門職

小寺 信也

2010年東京大学公共政策大学院修士課程修了後、内閣府入府。政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(総括担当)付を経て、2012年8月より現職。現在、経済対策、金融政策などマクロ経済政策に関する業務を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

若手官庁エコノミストが読む経済指標

銀行の敵は銀行?

2014年10月16日(木)

 しばしば「お金」は経済の「血液」に例えられる。お金がうまく動かないと、経済もうまく動かないということである。事実もその通りで、手元に十分な資金がないと、有益な投資機会があっても実行することができず、経済活動に支障をきたしてしまう。

 その場合、資金が不足している際の解決手段としては、企業であれば、株式市場や債券市場で、株式や社債を発行するなどの方法があるが、より主要な手段としては、銀行からの借入(銀行側にとっては貸出)が指摘できる。

 現在、日本銀行は大量の金融資産を購入するという金融緩和を行っているが、この金融緩和が実体経済にプラスとなって波及する上で、この「貸出」が重要な役割を担っている。日銀は長期国債をはじめとした大量の商品を金融機関から購入し、その代金を金融機関が保有している日銀の当座預金に振り込むという政策を行っている。この政策の成否は、この日銀が振り込んだ資金がその後どうなるかにかかっている。この資金が、いわば「タンス預金」のように、日銀の当座預金に積み上がり続けるだけでは、せっかくの金融緩和が意味をなさなくなってしまう。

 この資金が日銀の当座預金から引出され、リスク資産や貸出などに向かうことで、実体経済にも金融緩和の効果が波及していく。例えば、金融機関によるリスク資産への選好が強まることで、社債発行が容易になり、企業の資金調達が活性化する。このように、金融緩和の効果が実体経済に波及する経路は様々なものが考えられる。とはいえ、実際に日銀が当座預金に供給したマネーが、実体経済という市場に流通してゆく経路は、銀行などが仲介となり家計や企業へ資金を供給する「貸出」が主なものになると考えられる。以下では、その貸出がどのような要因で動いてきているのか、その活性化には何が必要なのかについて、考察していきたい。

貸出の変遷

 はじめに、ここ10年程度の銀行の貸出動向はどのような変遷を経てきたかについて確認してみよう。図1は、国内銀行における貸出先別・貸出残高の前年比を4つの要因に分解してプロットしたものであるが、個人や地方公共団体など向けは、安定してプラスに寄与する一方、法人向けはその変動が激しく、貸出残高の前年比を大きく左右していたことがわかる。

図1 国内銀行の貸出残高の推移
(資料)日本銀行「預金・現金・貸出金」により作成。
(注)大企業等は、中堅企業を含む。中小企業、個人、設備資金の一部は推計値。

 個人向けの貸出残高については、9割程度が住宅資金、いわゆる住宅ローンである。法人向けの貸出と異なり、個人向けの貸出残高は、グラフの期間中については常にプラスの寄与となっているが、これは個人の住宅取得に対する資金需要が一定程度あることや、金融機関が住宅ローンの顧客獲得に積極的に取り組んでいるためと考えられる。

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