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藤田 勝利(ふじた・かつとし)

PROJECT INITIATIVE 株式会社代表取締役 経営教育事業家/コンサルタント

藤田 勝利

1996年上智大学経済学部卒業。住友商事株式会社、アクセンチュア社勤務後、2004年米Claremont Graduate University P.F Drucker Graduate School of Management(通称ドラッカー・スクール)にて経営学修士号取得(成績優秀者表彰)。同校においてピーター・ドラッカー及びその思想を受け継ぐ教授陣よりマネジメント理論全般を学ぶ。
2005年よりIT系ベンチャー企業にてマーケティング責任者、事業開発担当執行役員等を歴任。2010年独立。
次世代経営リーダー育成とコンサルティング/コーチングを融合した独自の「経営教育事業(Management Education Business)」を基軸に、様々なプロジェクトを手がけている。専門は「組織マネジメント」「イノベーション」。
年間延べ2000人以上の経営幹部層、マネジメント層にトレーニングを実施。
http://project-initiative.com

◇主な著書
ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント』(日本実業出版) 2013
英語で読み解く ドラッカー『イノベーションと起業家精神』』(Japan Times) 2016

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

今こそ役立つ、ドラッカーの「見方、考え方」

第6回 あの人はなぜ年齢を重ねても生産的なのか

2018年4月19日(木)

 おかげさまで、本連載も第6回目に入ることができました。第6回から第10回目も、これまで同様にドラッカーの「見方、考え方」に学びながら、「生き方・働き方」「組織風土」「働き甲斐と幸福」「AI時代のマネジメント」「機能する豊かな社会」などの重要テーマを考えていきます。

 さて、今回第6回は、人生100年時代とも言われる時代の、新しい「生き方、働き方」についてです。実はドラッカーは、長寿社会をいち早く予見し、「第二の人生のマネジメント」についても多くの助言をしてきました。その考え方は実践的で、現代を生きる私たちに重要なヒントを与えてくれます。

 まずは、かつて上司と部下の関係にあった二人の会話からみていきましょう。

(元上司(60代後半)と元部下(40代後半)の会話)

元部下:「部長、ご無沙汰しております!すみません、お忙しいのにお時間をとっていただいて。」

元上司:「久々に会えて嬉しいよ。何年ぶりかな。しかし、『部長』はもうやめろよ(苦笑)。」

元部下:「すごいですよね。10年前に早期退職をされてから大学院に通って、勉強されたなんて。僕には想像つかないですよ。今は、主にどういうお仕事をされているのですか。」

元上司:「自分の仕事の専門分野と大学院で研究したファイナンスの知識を合わせて、中小企業のM&Aや事業承継を支援するビジネスがメインかな。それから、いくつかの大学で学生と社会人にも教えているよ。」

元部下:「以前にも増して、パワフルで元気そうですね。」

元上司:「自分の好きなこと、得意だと思うことを、やりたいようにやれているからな。」

元部下:「やりがいも大きそうですね。」

元上司:「会社にいたときのように、大きなお金やプロジェクトを動かしているわけではないけどな。自分の仕事で誰かが喜んでくれる、役に立てている、そう実感できるのが何より嬉しい。もちろん、会社を辞める時はそんなことを考える余裕はなかったけどな。」

元部下:「私も40代後半に入ってきて、色々焦っています。この数年で自分が会社人生でどのレベルまで行けるのか、見えてしまいますし。」

元上司:「お前の実績は評価されているから、焦る必要なんかないよ。」

元部下:「けれど、今担当している商売の市況も良くないですし、不安は感じますよ。儲かっている部署でバリバリ大きな利益を出している同期や後輩に差をつけられているな、って。」

元上司:「年齢的にも、早く結果を出さないと、って焦るわけだよな。」

元部下:「はい。あと何年かの実績で『将来』が決まってしまう年齢ですから。やっぱり不安と焦りが半端ないですね。」

元上司:「気持ちはわかる。けれど、その考え方、もはや全く時代に合っていないと思うぞ。」

元部下:「え、どういうことですか?」

元上司:「それは、自分より会社がずっと長生きする時代の考え方だ。会社だけじゃない。今の職業、事業、商売、製品、組織が自分自身よりも長生きして残り続けると信じているから焦る。自分以外の誰かに、それが先に取られてしまう、ということへの恐れだな。」

元部下:「実際は違うのですか?」

元上司:「今は、組織よりもそこで働く人の方が長生きする時代だ。組織や事業の寿命は短くなる一方で、人の健康寿命は伸びている。」

元部下:「確かに。人生100年時代、なんてことも言われていますよね。でも、それって僕ら40代、50代の人にとってどのような具体的な影響があるのでしょうか。」

元上司:「『会社という尺』で将来設計するのではなく、『自分自身を経営(マネジメント)する』意識を持つことだ。自分自身を経営する長い時間軸の中で、組織の寿命にかかわらず、複数の事業や商売を経験していく、そういう時代になっている。」

元部下:「60歳を過ぎても、ですか。」

元上司:「もちろんだ。会社より自分が長生きする時代に、そもそも60歳定年に意味なんてない。定年が65歳になってもそれは同じだ。俺自身が誰よりそれを実感している。50代後半で会社を去る決断をした時からそのことをずっと考えてきた。」

元部下:「確かに、部長は60歳を過ぎて、ますます活躍するフィールドが広がっていますね。」

元上司:「もちろん体力的には、若い時の方が無理はきく。けれど、年を重ねて圧倒的に成長することもある。」

元部下:「それは何ですか。」

元上司:「『知識』と『知的生産性』とでも言うかな。これらは55歳、60歳を過ぎても、『自分自身を』正しくマネジメントしていけば、無限に成長させられる。そして、それが新しい時代に幸福なキャリアを築く上での重要な『資源』になる。」

元部下:「会社内の昇進や定年という狭い枠で、焦ったり不安になったりすることが小さいことのように思えてきますね。」

元上司:「もちろん、今の仕事でベストを尽くすことは大事だ。けれど、現代を生きる我々にとって、活躍できる時間軸は、以前よりもずっと長くなっていることを覚えておいて欲しい。自分自身という資源を生かす準備と経験を積み重ねることが大切だよ。」

元部下:「ありがとうございます。短期的な評価や評判に惑わされすぎていた気がします。今日のお話しを聞けただけでも、明日から生産的な気持ちで仕事に向かえそうです。」

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