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小林 美樹(こばやし・みき)

神戸大学大学院経済学研究科研究員

小林 美樹

2006年日本福祉大学経済学部卒業。2011年神戸大学大学院修了、博士(経済学)。専門は社会保障論、医療経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「気鋭の論点」

父親のサポートがかぎを握る「おっぱいの経済学」

2014年7月8日(火)

 現在、世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)は、生後6か月までの完全母乳育児、さらに、できれば2歳を超えるまでの母乳育児の継続を推奨している。なぜ、母乳が推奨されるのだろうか? それは、米小児科学会が「乳児栄養は、ライフスタイルの選択ではなく、基本的な健康問題として考えられるべきもの」と述べているように、母乳育児には数々のメリットがあるからである。

 例えば、乳幼児の感染性疾患の発症を抑制し重症化を防ぎ、乳幼児突然死症候群を減らす。また、糖尿病・白血病・肥満・ぜんそく・アレルギーなどの発症を減らし、さらには、認知能力の発達にプラスに影響するなど、乳幼児の健康に良い影響がある。さらには、母親にとっても、産後の健康や後年の卵巣がん・乳がんを減らすことに影響することなどが分かってきたからである。

 このようにして、母乳から得られる利益は、健康、栄養、免疫、発達、心理、社会、経済、環境など様々な分野に及ぶことが知られるようになってきた。

 しかし、多くの女性にとって、母乳育児の成功のためには、母乳育児の方法を指導する病院・産院スタッフ、家族の支援が必要であり、そのためにもWHO/UNICEFや各国の保健担当当局は、母乳育児拡大への支援を推進している。

日本の方が米国より母乳育児率が高い

 それでは、日本で母乳育児を推進するためには何が必要なのだろうか。そのためには、現在どのくらいの人々が母乳育児を行っているのか、また、どのような人々が母乳育児を行っているのかを知る必要がある。筆者たちは、最新の日本のデータを用いてこの点を解明しようと試みた。

 図1は、日本と米国の月齢ごとによる母乳育児率である。これをみると、日米ともに6か月時点での完全母乳育児は50%を下回っており、WHO/UNICEFが推奨している生後6か月までの完全母乳育児は達成されていない。さらには、混合栄養を含む母乳育児率も、月齢が進むにつれ低下している。

 一方、日米の違いとしては、日本のほうが米国よりも母乳育児率は高い。この理由として2つの可能性が考えられる。1つの可能性としては、日米における出産時の入院日数の違いである。出産時における入院日数は、米国は出産後24時間から72時間であるのに対し、日本は5日から8日である。

週末に生まれた子は母乳育児率が低い

 イギリスでは、週末に生まれた子は、週中に生まれた子より授乳に対するサポートがあまり受けられないため母乳育児率が低くなるというFitzsimons and Vera-Hernandezによる研究があるが、出産後に病院で授乳のためのサポートを受けられるかどうかが、母乳育児率に直接かかわっている可能性がある。

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