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琴坂 将広(ことさか・まさひろ)

立命館大学経営学部国際経営学科准教授

琴坂 将広

慶応義塾大学環境情報学部卒業。在学時、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営に携わる。大学卒業後、2004年からマッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に在籍。北欧、西欧、中東、アジアの9ヵ国で新規事業、経営戦略策定のプロジェクトに関わる。多様な事業領域における国際経営の知見を広め、世界60ヵ国・200都市以上を訪れた。2008年に同社退職後、英オックスフォード大学大学院経営学研究科に進学、2009年に優等修士号(経営研究)を取得。在籍中は、非常勤のコンサルティングに関わる。ヨットセーリングの大学代表に選出されるなど、研究・教育以外にも精力的に活動。2013年に博士号(経営学)を取得、同年に現職。専門は国際化戦略。

◇主な著書
領域を超える経営学―グローバル経営の本質を知の系譜で読み解く』(ダイヤモンド社) 2014
マッキンゼーITの本質 情報システムを活かした「業務改革」で利益を創出する(共編著)』(ダイヤモンド社) 2005

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ボーダーレス経営論~情報過多時代の「未知先」案内

Airbnb、Uberと新興国の意外な共通点

2015年12月9日(水)

 タクシーの配車サービスのウーバー(Uber)と、空き家や空き部屋を短期間旅行者に貸し出すエアビーアンドビー(Airbnb)が世界中で急成長しています。この2社の評価額はそれぞれ410億ドルと240億ドルにのぼり、いわゆるユニコーン企業、時価総額10億ドル以上のスタートアップ企業の代表格と言われています。

 この両社の共通点は、世界各地で、その地域の規制や業界団体と戦っているということでしょう。多くの国々で宿泊業や旅客輸送業務は規制されており、現地の事業者はその法規制に基づいて事業を行っています。その一方、この両社はその法規制が及ばないか、少なくともそれが明確に定義していないグレーゾーンで事業を行っています。

 そのため、ウーバーも、エアビーアンドビーも、直接の同業と市場で戦うための戦略(市場戦略)を構築するだけではなく、市場ではない場所で戦う戦略(非市場戦略)を構築しています。例えば、規制当局と交渉したり根回しをしたり世論を醸成することが、極めて重要で戦略的な取り組みとなっているのです。

 ちょうど先月、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄准教授が非市場戦略についての記事を掲載されていました。入山准教授が書かれているように、特に新興国における非市場戦略の議論は、国際経営の学会のみならず、経営戦略の学会でも近年大きく注目を浴びています。今回は少し視点を変えて、新興ベンチャーにみる非市場戦略と、日本企業について筆者の視点から考えてみたいと思います。

成長領域で戦うには、非市場戦略が欠かせない

 筆者がウーバーやエアビーアンドビーなどの各国における事業創造を調査する最新の研究に関して話を聞いてみると、競合するサービスとの市場競争よりも、政府や業界団体などとの交渉ややりとりなどにおける非市場戦略が研究者の注目を浴びていると言います。

 例えば、エアビーアンドビーはサンフランシスコで同社の成長を阻害する可能性のある法案に対して反対するために、8百万ドル(約9億6千万円)の予算を投じて、政府と交渉する有能なロビイストと契約するだけではなく、400人のボランティアスタッフを動員して有権者の戸別訪問をするキャンペーンを展開しました(注3)。

 さらに過激ともいえる体制を構築しているのはウーバーです。ウーバーは2015年6月の段階では、米国だけでも少なくとも29社、250人のロビイストと契約しており、全米で政府機関や政治家や利害関係社に対して自社の事業の成長を支援するように交渉を続けています。2015年6月の時点でウーバーの従業員は約3000人と言われていました(注4)。その会社が、売上高でみて米国最大の企業であるウォルマートを上回る250人ものロビイストを活用している事実は、同社が非市場戦略に命運を賭けていることを示しているかと思います(注5)。

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