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琴坂 将広(ことさか・まさひろ)

立命館大学経営学部国際経営学科准教授

琴坂 将広

慶応義塾大学環境情報学部卒業。在学時、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営に携わる。大学卒業後、2004年からマッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に在籍。北欧、西欧、中東、アジアの9ヵ国で新規事業、経営戦略策定のプロジェクトに関わる。多様な事業領域における国際経営の知見を広め、世界60ヵ国・200都市以上を訪れた。2008年に同社退職後、英オックスフォード大学大学院経営学研究科に進学、2009年に優等修士号(経営研究)を取得。在籍中は、非常勤のコンサルティングに関わる。ヨットセーリングの大学代表に選出されるなど、研究・教育以外にも精力的に活動。2013年に博士号(経営学)を取得、同年に現職。専門は国際化戦略。

◇主な著書
領域を超える経営学―グローバル経営の本質を知の系譜で読み解く』(ダイヤモンド社) 2014
マッキンゼーITの本質 情報システムを活かした「業務改革」で利益を創出する(共編著)』(ダイヤモンド社) 2005

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

気鋭の経済論点

スタートアップ支援では大手企業は黒子に

2017年11月2日(木)

(日経ビジネス2017年8月28日号より転載)

琴坂将広(ことさか・まさひろ)
慶応義塾大学総合政策学部准教授

慶応義塾大学環境情報学部卒業。2004年からマッキンゼー・アンド・カンパニー。英オックスフォード大学などを経て16年から現職。専門は国際化戦略および制度と市場。

 大企業がIT(情報技術)のスタートアップに対して大型の買収・投資をする動きが広がっている。直近ではKDDIが、IoTの通信サービスを手掛けるソラコム(東京都世田谷区)を約200億円で買収。トヨタ自動車による、AI(人工知能)開発のプリファード・ネットワークス(東京都千代田区)への105億円の追加出資が記憶に新しい。

 また、物流のシェアリングサービスを担うラクスル(東京都品川区)とヤマトホールディングスの資本提携や、ニュース総合アプリ「ニューズピックス」のユーザベースによる米ダウ・ジョーンズとの合弁会社の設立なども話題を集めた。投資や買収にとどまらない相互の協業の事例も目立つ。

 大企業とスタートアップの関わり は今に始まったことではない。遡ればパソコンやインターネットの黎明期にも、キヤノンや当時の松下電器産業(現パナソニック)など数多くの日本企業がシリコンバレーに拠点を作り、現地の新興企業との連携を模索していた。

 大企業が新興企業から新しい部品や部材を調達し、自社の製品開発に生かす動きも特に目新しいものではない。戦後の日本企業は「系列」とも呼ばれた大企業と中小企業の強い結びつきを土台として、国際的に高い競争力を持つ製品やサービスを提供してきた。

 しかし、これらは系列全体に影響力をもたらす中核である大規模な企業と、それに依存または従属する中小規模の企業の階層的な関係であった。

硬直化した組織が創造性阻害

 昨今に見られるように、大企業とスタートアップが対等に近い関係で事業を推進することや、ときにはスタートアップが事業推進の旗振り役となり、大企業が黒子に徹するような形態は、日本では比較的新しい動きである。

KDDIはIoT関連スタートアップのソラコムを買収(写真/上・下=竹井 俊晴)
全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」を手掛けるセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズはパナソニックなどと提携する

 スタートアップは機動力と発想力による創造性が高い半面、経営資源に乏しい。逆に大企業は品質管理や量産化などの大規模な組織と事業運営の知見により高い生産性を誇る一方、硬直化した組織が創造性を阻害している。

 したがって、規模の小さなスタートアップが主役となり、技術、商品、サービスの企画と開発を主導する。逆に規模の大きな企業がその下請けとなり、必要な知見と経営資源を供出する。この構造は、双方に魅力が見込まれる。

 こうした大企業とスタートアップの連携が促進されてきた背景は、3つの要因に整理できるだろう。

 第1に、スタートアップ側の成熟が進んできた。2006年の「ライブドア・ショック」の頃までは、スタートアップの事業規模はまだ小さく、事業領域もインターネットの世界に閉じていた。大企業との連携を図るよりも、それに挑戦しようとする機運が支配しており、大企業の組織や意思決定の特性を理解する人材も限られていた。

スタートアップへの大型出資が相次ぐ
●大手企業による主な投資の事例

 しかし、スタートアップは徐々にその事業規模・事業領域を拡大、多種多彩な事業領域に進出して大企業との協業関係を深めてきた。次第に大企業の特性を理解する人材が数多く経営に参加し始め、こうした人材が大企業の言語を翻訳、連携の窓口となった。

 第2に、大企業側の組織や経営のあり方が変わり始めてきたことも事実である。伝統的な年功序列、終身雇用、系列経営のあり方が崩壊しつつあり、能力がある人材や外部の組織を評価し、それを最大限に活用しようとする機運が高まってきた。

 今やほとんどの事業領域においてITを取り入れることが不可避であり、それを自社内部だけで対応することは無謀に近い。その事実に、ついに腰の重い大企業も数々の失敗や停滞から気づき始めている。

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