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辻口 寛一(つじぐち・ひろかず)

クロスロード株式会社 代表取締役 コミュニケーション・コンサルタント

辻口 寛一

1965年東京都出身。立教大学文学部心理学科卒。日本旅行、リクルート、大和証券グループを経て独立。「サポーティブリスニング」という概念を提唱。「聞くこと」からアプローチして対話力を強化する教育と、それによってホワイトカラーの生産性を向上させるコンサルティングを提供している。クライアントには日本IBMなど数多くの大手企業がある。2015年から中国でも活動を開始。現地クライアント企業の商談決定率を30%から70%に向上させるなどの成果を上げている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

会話の「間」に興味を持ち、研究材料として落語や講談を聞き始めました。こんな時、ちょっと検索すればWEB上にたくさん動画がアップされているので、便利な時代になったものだと感心しています。そうして、初めのうちは「間を研究しよう!」と思って聞き始めるのですが、いつしか話に引き込まれてしまい、パソコンの前でゲラゲラ笑っている自分がいます。やはりプロの技はすごいものです。これが、ライブで聞くともっとすごさが分かります。

寄席に足を運んで、昼間から軽くビールを飲み、ライブで噺を聞いているのは至福のひと時です。とはいえ、そこでも結局ゲラゲラ笑っているだけなので、「間」の研究はいっこうに進みません。違う研究方法を考えたほうがいいかしら・・・と悩んでいる今日この頃です。

「聞く力」を鍛えて「対話力」を高めよう!

「遺言」を聞き出す前にやるべきこと

2016年8月25日(木)

 この連載も、いよいよ最終回を迎えます。これまで、ビジネスに関わる場面ばかり取り上げてきましたが、対話が大切なのはプライベートも同じです。むしろ、配偶者や子供など、身近な人の話を聞くほうが難しいくらいです。夫婦の会話がない、親子の会話がないという話もよく聞きます。身近な人との対話がうまくいくかどうかは、人生の幸福度に大きく影響します。そこで今回は、身近な人の話を聞く時のポイントについて考察したいと思います。

「遺言」をどうやって聞き出すか

 初めから重たいことを書きますが、どうかご容赦ください。この連載をしていて、たくさんの方からいろいろなご質問をいただきました。その中で、この問い合わせがとても印象深かったので、今回取り上げたいと思います。

 高齢化が進む中で、遺産相続が話題に上ることが多くなりました。その現場では、「当事者が、なかなか遺言を残そうとしない」ことが問題になっているようです。「何か遺言を聞き出すための方法はないか?」とお考えになるのでしょう。私に問い合わせてきたのは、まさにそうした問題に直面している方々でした。

 結論から言うと、遺言だけポンと聞き出すようなやり方はお勧めしません。「営業で顧客の無理な要求に振り回されないために」の回でお話ししたように、未来のことを聞く前に、まず現状を認識することが必要です。遺言は未来のこと(自分が亡くなった後のこと)を語るのですから、その前にご本人のこれまでの人生についてゆっくりと聞いて差し上げるのが先ではないでしょうか。

 「年上の部下とわかりあう術」の回でお話しした「ライフストーリー・インタビュー」をぜひ実施してみてください。高齢で経験豊富な方の場合、7~8時間以上かかるかと思います。話す側も聞く側も結構な重労働ですが、それだけの価値があります。「これまでのこと」を話し終えた後に、自然とご本人の口から「今後のこと」についてお話が出るはずです。

 ライフストーリー・インタビューは、企業経営者の世代交代でも有効です。私は以前、80代で現役経営者だった方にインタビューしたことがあります。これまでの経験から、まる1日かかることは覚悟していたのですが、結局3日間ほどかかりました。インタビュー内容は、私が自ら書き起こし、文章を整えて差し上げたのですが、その内容を読み終えて、その方は静かに引退を決意されました。私としても、とても思い出深い仕事の一つになっています。

「聞くこと」は意思決定の後押しにつながる

 実は、「聞くこと」は意思決定の後押しにつながるのです。あれこれと話をすることで、自分の状況が冷静に認識できて、考えがまとまり、気持ちも整理できます。そうすることで、無理なく意思決定ができるのです。人生の大先輩に、「遺言を残せ」「引退しろ」なんてとても言えませんよね。でも、静かにゆっくりとお話を聞いて差し上げることで、その大きな意思決定をサポートすることができるわけです。

 先日、サポーティブリスニングの研修を受けた方が、ご主人にさっそく試して「聞くこと」の効果を実感されていました。その方のご主人は、多忙がたたったのか体調が思わしくなく、顔色も悪くて、見るからに辛そうにしていたそうです。周囲も心配し、その方も「病院に行ったほうがよい」と盛んに言っていました。ところが、ご主人は頑として行こうとしない。そうしたタイミングで、当社の研修を受講されたのです。

 受講後、帰宅してから、その方はご主人の話をゆっくりと聞くことにしました。体調がどのように思わしくないのか、仕事にどんな悪影響が出ているのか。そして、自分自身だけでなく、周囲の人たちがどのように不安に思っているのか…。こうしたことを、ゆっくりと聞き続けたところ、急にご主人は「明日、病院に行ってみる」と言い出したそうです。

 その方いわく、「それまでずっと『病院に行け』と言っても行こうとしなかったんです。それが、1時間ほど話を聞いてあげたら、あっさりと自分から『病院に行く』と言い始めたので驚きました」とのこと。検査結果も問題なかったそうで、私としてもホッとしました。

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