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野地 秩嘉(のじ・つねよし)

ノンフィクション作家

野地 秩嘉

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュ、ビジネス、食、芸術、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

最近のトピックス

11月25日に新刊書籍『アジアで働く いまはその時だ』が発売になります。当連載では、同書に収録したシンガポール編からダイジェスト版を公開します。

今作の執筆のため、シンガポールのほか、ベトナム、タイ、ミャンマー、インドネシアで仕事に取り組むビジネスパーソンを現地に訪ね、その働き方、生き方を取材しました。彼らは様々な苦労に直面しながら、確かな手応えを感じ、日々逞しさを増しています。閉塞する国内市場より、熱く成長を続けるアジア市場こそ、これから挑むべき場所です。あなたも明日、「シンガポールで頑張ってくれ」と言わるかもしれません。そんな「明日のあなた」のために、ぜひご一読ください。

トレンド・ボックス

「やってみなはれ」のDNAを受け継ぐ研究所

2016年11月8日(火)

前回から読む)

サントリーが基礎研究の拠点として昨年5月、けいはんな研究学園都市に開設したサントリーワールドリサーチセンター(写真:直江竜也、以下同)
約400人の研究員が大きく7つのテーマの研究に取り組んでいる

 京都府下、けいはんな研究学園都市にサントリーが作った研究施設、サントリーワールドリサーチセンター(SWR)。そこではビールやウイスキー、飲料などの商品開発ではなく、広範囲にわたる基礎研究を行っている。

冒険のための7つのテーマ

 SWRは東京ドームと同じくらいの敷地に天井高のある4階建ての建物だ。開放感のある施設のなかで、250人ほどの研究者は次の7つの研究テーマに取り組んでいる。

・自然の恵みが秘めた力を見つけ出す。
 農作物などに含まれる天然成分、微生物の研究。

・自然の恵みを未来につなぐ。
 水をはじめとする自然の恵みを永続的に利用するためのしくみを構想する。

・食と体の関わりを解き明かす。
 新たな可能性を持つ素材や成分を見つける。

・生きものの可能性をひろげる。
 微生物、植物の働きを見極め、潜在的な能力を引き出し、新たな価値を創造する。

・素材の効果を裏づける。
 新たな素材を評価、試験するためのアプローチや分析技術を探求、最適な手法を用いる。

・素材の魅力を引き出す。
 素材に秘められた味や香り、効能をより多く引き出す条件、配合、技術を探求する。

・新しいつくり方を生み出す。
 省資源、省エネルギーで安心、安全な、ものづくり技術を追求する。

 いずれも、ストレートに売り上げに結びつく研究ではない。

 「まずは対象をひろくとらえて、好きなことをやってみろ」という経営者の態度から生まれた施設だ。さらに言えば、「金になるかならないかはいまは気にするな。それよりもまず、やりたいことに取り組め。ただし、結果は出してもらうよ」ということなのだろう。

 いわば冒険である。そして、冒険を後押しする精神はサントリーの創業者、鳥井信治郎からきている。

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