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池松 由香(いけまつ・ゆか)

日経ビジネス記者

池松 由香

北米毎日新聞社(米国サンフランシスコ)で5年間、記者を務めた後、帰国。日経E-BIZ、日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)、日経ものづくりの記者を経て、2014年10月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ニュースを斬る

EV巻き返し狙うトヨタの「秘策」

2018年3月20日(火)

 中国や欧州で環境規制が急速に強まる中、今後の業界動向を左右するトヨタのEV戦略が見えてきた。カギを握るのは水面下で進めてきた「次世代電池」と、マツダなど協業先を巻き込む「チームトヨタ」戦略。EVの普及可能性を慎重に見ていたトヨタ自動車が、虎視眈々と巻き返しを狙っている。

(日経ビジネス2017年12月4日号より転載)

電動化技術説明会では「プリウス」などを展示

 HV(ハイブリッド車)やPHV(プラグインハイブリッド車)をエコカーの「現実解」と捉え、将来の究極モデルとしてFCV(燃料電池車)を本命視してきたトヨタ自動車が、EV(電気自動車)市場で巻き返しを狙う。11月27日に都内で開いた電動化技術説明会で、安部静生常務理事が自信ありげにこう言い切った。

 「我々は1960年代からEVやHVの研究を進めてきた。(HVの)『プリウス』で20年間、培ってきた電動化の要素技術や制御技術、生産技術はEVに生かせるし、優位性もある」。唐突に聞こえるEVアピール。もちろん無い袖を振っているわけではない。そこには起死回生の「2つの秘策」がある。

「チームトヨタ」の真意

 一つは、同社が力を入れて開発してきた全固体電池の存在だ。あるトヨタ幹部は「EVに積極的になったのは安全性が高く性能も優れた全固体電池の技術開発にメドが立ちつつあるから」と打ち明ける。

 同電池は、電解質を固体化しているため液漏れがなく、耐熱性が高い。現在、EVやHVで使われているリチウムイオン電池やニッケル水素電池などに比べ、同じ体積でより多くの電気を蓄えられる。1回の充電でそれだけ長い時間、走り続けられることを意味する。トヨタ以外にも全固体電池の開発を進める企業はあるが、トヨタが競合に先駆けて実用化できれば、EV市場で主導権を握れる可能性も出てくる。

 もう一つの秘策が、マツダやスズキなどの提携先企業と形成する「共同開発・グローバル生産体制」。いわば、「チームトヨタ」によるEV市場開拓だ。

 9月下旬にトヨタは、マツダ、デンソーとEV向けの共通モジュールを開発する新会社を設立した。狙いは互いの強みを持ち寄って短期間で低コスト・高性能のEVを開発すること。トヨタとデンソーはHVで培った電動化部品の技術を投じ、マツダは効率的に共通モジュールを開発する手法「コモンアーキテクチャー」を提供する。

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